渡辺浩弐の日々是コージ中
第420回
6月23日「3D-CGから立体視映像へ」
・デジタルコンテンツEXPO「国際3Dフェア 2009in TOKYO」実行委員会のミーティングに参加。
・画像を立体的に見せる様々な技術の基礎はVRブームだった90年代前半までにほとんど提示されていた。しかし、それがエンターテインメントとして「珍しい」ものでなく「楽しい」ものとして使われるようになったのはここ数年のことだ。
・技術とインフラがようやく安定したということだ。『センター・オブ・ジ・アース』で確信したが、もう全く疲れずにフルサイズの長編映画を観られるレベルになっている。3D対応のデジタル映画館は日本でも増加している。時機は来ているのだ。
・3D-CGの生データがあれば容易に立体視バージョンを制作できるから、ゲーム制作工程との相性も良い。僕は、ゲーム業界と映画業界のコラボレートがこの領域で盛んになることに最も期待している。
6月26日「ヒットラーの復活の復活」
・ニコニコチャンネルGTVではおなじみジャンクハンター吉田さんをお招きしてのゲーム実況。今回は『バイオニックコマンドー』。吉田さんはカプコン社プロデューサーのベン・ジャッド氏と、そしてゲーム好きで知られる映画監督の山口雄大氏を連れてきてくれた。
・みんな喋る喋る喋る。2時間くらいはあっという間だったよ。同じメンツでまたやりたい。
6月27日「生放送の意味」
・というわけでニコニコの生放送の本当の価値が体験的にわかってきた。そもそもの話になるが、テレビの生放送って実はあまり意味なくないですか。生のようなふりで「とってだし(撮影終了直後に放送すること)」の番組も結構あるらしいが、それで問題はないのだ。生放送は数万人くらいまでの細分化された層に向けての、双方向の企画に向いているのだ。
・さて最近は忙しいのだが、小説は頭の中でどんどん書いてる。結構たまってきたのでまたノベル実況をやってみようと思う。他にもいろいろな企画を準備してるけど、大抵いきなりやってみることになりそうなので、チャンネルをチェックしてください。
第419回
6月12日「ニコニコな日々」
・ニコニコチャンネルGTV生放送。ゲストは再びジャンクハンター吉田氏。6月頭にLAで開催されたゲームショウ「E3」の取材映像を見せて頂きながらのトーク。
・360の勢いが加速しているとか、日本で出ていないハイレベルなアクションゲームがたくさんあるとか、逆にこちらでは大ヒットしている作品がアメリカでは不振だったりする、とか。一言でまとめると、日本とアメリカのゲーム・トレンドは分離してしまいつつあるということだろうか。この流れには逆らっても意味はない。作る側はためらわずに先鋭的な方向に突き進み、そして国別のマーケティングではなく、嗜好性別のマーケティングで売って行かなくてはならない。
・こういう番組をこれからどんどんやっていくつもり。ゲームのメーカーやソフトハウスの皆様にはぜひ現場を見に来て頂きたいので、ご一報ください。
6月13日「図工室から」
・世田谷の学校で開催された「リアル脱出ゲーム」に参加。『廃校脱出シリーズ2 図工室からの脱出』。参加者はまず特定の場所に閉じこめられる。その空間内にいろいろな形で謎のメッセージが散りばめられている。それらを一つ一つ解いていき、制限時間内に脱出することを目指す……という体験型ゲーム。
・去年、作家の北山猛邦さんと一緒に、中野ブロードウェイのカフェを拠点にビル全体を使ったミステリーゲームを仕掛けたことがあった。その際メディアファクトリーの三原プロデューサーから薦められたのである。1公演20人ちょいという限定されたイベントだがネットを調べると既にすごい評判になっている。こういうのは自分で体験しないと。というわけで手を尽くして頂いて(すみません)プラチナチケットを入手したのだ。
・今回は、学校の「図工室」というテーマで、そこにあるものを使って図画や工作をすることによってフラグを立てていく。8ビットゲーム世代に嬉しい演出もあった。寺山修司とテレビゲームの中間くらいにある、ポップでスリリングな楽しさ。
6月18日「ケーキ実況」
・ニコニコチャンネルGTVで生放送。今日は『甘党ーーク!』。作家がひたすらお菓子を食べる、という企画。
・第1回は松原真琴さんのリクエストで、ロールケーキ特集。高円寺ラレーヌの「王妃のロールケーキ」神楽坂ウッドマンズケーキの「神楽坂ロール」それから札幌・菓か舎の「フレッシュロール」、など、8本 (8切れ、ではなく、まるごと8本) のロールケーキを2人で、1時間の放送中に食べきった。というか、前半でほぼ食べきってしまったので間が持たなくなり、マツバラさんはさらにカプリコを2本食べていた。
・ただしそこまでは実は前菜に過ぎなかったのだ。メインディッシュは、今日いらしていた人気漫画家さんのためのバースデー・ケーキだった。ニコニコ視聴者のみんなと一緒にお祝いができたよ! みなさん弾幕ありがとう。松原さんありがとう。
・次の生放送は26日19:00の予定。ゲーム企画です。ニコニコチャンネルGTVをチェックしててください。
第418回
6月4日「=ムシの日」
・秋に向けて鈴虫の飼育を開始している。今まで、鈴虫が肉をもりもり食う雑食性だとは知らなかった。油断すると共食いまではじめる旺盛さなのだ。あの美しい鳴き声には、肉のパワーがあるのだ。
6月5日「ノベル実況」
・ニコニコ動画でいろいろな実験を続けている。例えばニコニコ生放送を使って、ライブで小説を書いてみたり。
・いつもの作家飲み会の現場の片隅で、カフェの仕入れ記録なんかに使っているノーパソに書いて、その画面を再撮影して流した。デスクトップをそのまま流す方が見やすいとは思ったが、今後いろいろな作家さんやマンガ家さんがそれぞれ自分の使い慣れた環境を持ち込んでやってくれる可能性を考え、汎用性のある方法で実験しておきたかったのだ。ケント紙や原稿用紙に手がきの可能性もある。
・1画面で読み切ってもらいたいということもあり、100文字ぴったりで書くことを決めた(これにこだわり過ぎてもたついてしまった)。設定とストーリーは頭の中に用意していたのだが、小説って書きながら考えることがとても多い。それは、頭だけでなく指先で考えるという感覚なのである。その指先思考に対して視聴者に直接アクセスしてもらう、というイメージだ。
・コメントから、つまり視聴者の方が出してくれたアイデアを、かなり採用した。わかりにくいところや矛盾点の指摘だけでなく適切な言い回しをもらったり、1本はタイトルまで、視聴者案をもらった。そして30分でショート・ショートが3本できた。
・企画に共感してくれた佐藤友哉さんが、別の予定をキャンセルして駆けつけてきてくれた。後半の30分は、ネット時代の、ライブ時代の作家のスタンスについて佐藤さんといろいろ話した。
6月8日「旗立てた!」
・ニコニコ動画でニコニコチャンネルGTV仮オープン。公開しつつシステム検証などを行い、7月に正式オープン予定です。
※おお、偶然だけど同じ日に『SPA!生ちゃんねる』もオープンしましたね。
・全てのコンテンツはそれを大好きな人が作り、大好きな人が語り、大好きな人が買う、べきである。当たり前のことのようだが、今まではそうではない状況がたくさんあったのだ。例えばお金だけのためにいやいや作った作品を、それに全く興味のない人が宣伝していたり。しかし、ニコニコ動画におけるゲーム実況の盛り上がりと、それが売り上げに与えているインパクトを見ると、ここで大きな変化がやってきていることに気付くことができる。
・そう、その波は最初にゲームシーンにやってきたのだ。特にニコニコ動画の使い方に悩んでいるというゲームメーカーさんは、連絡して頂きたい。取りあえず何かやってみましょう。やってみないとわからないって。
・急告。次の生放送は、6月12日 (金) 19:00から。LAから帰ってきたばかりのジャンクハンター吉田さんによる「E3」映像リポートです。その次は6月18日あたりに、何かやります。現場(カフェ)に遊びに来たい人いますか?