第403回

2月18日「すぐ近くのコーヒー名産地」

・台湾の出版社、全力出版のリン社長来日。リンさんは「コミコミ」というマンガ共有サイトを活用して、自社の月刊雑誌をネット上に完全移行することに成功している。毎月紙に印刷して発刊、配本するスタイルから、各作品をウェッブ上で更新するスタイルに。

・「コミコミ」は画面上に解説や感想を書き込みできる仕組みで、連載と同時に作家/読者の双方向コミュニーションが行われている。もちろん対象エリアは全世界ということになる。僕もこういう場所での活動もやってみたいと考えていて、いろいろ相談させてもらった。

・リンさんは台湾産のコーヒーも持ってきて下さった。豆本来のいがらっぽさをあえて消さずに丁寧な乾燥と焙煎によって甘みを深めている、高貴な味わい。アイスコーヒーにしてもすごく美味しかった。

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2月20日「萌えゲームのリアル化」

・D3パブリッシャーから新作タイトル『ドリームクラブ』(今夏発売予定)が発表され、話題になっている。「大人の社交場に勤める清らかな心を持った乙女、”ホストガール”と素敵なひとときを過ごす」ゲーム。というか、かなりあからさまにキャバクラゲームのようなのだが、ビジュアルだけ見てもクオリティーは非常に高そう。そして店内カラオケでのステージングや会話システムなど、相当に『アイドルマスター』を意識しているようだ。アイマスの制作スタッフが参加している、という情報まで流れている。裏は取れなかったが、そうだと考えた方が納得の行く作りだ。当然ながら既にアイマスのファンはかなり盛り上がっている。

・バンダイナムコはどう対応してるんだろうと思っていたら、なんと今バンナム社はD3社に対しての買収を仕掛けているらしい。子会社にしてしまおうというわけである。そうなったら『アイドルマスター』と『ドリームクラブ』は、同じ会社からリリースされることになる。当然後者もシリーズ化されるだろう。2つの世界をリンクしたコラボが期待できてしまうわけだ。つまり同一のキャラクターが、アイドルで売れなかったらクラブで働かされるとか、クラブで頭角を現せばアイドルデビュー、とか、なんかもう、考えれば考えるほどわくわくしてくる。

2月25日「兄貴来日してたんだね」

・ニコニコ動画のニワンゴ社に行き、ブレストに参加。ユーザーをさらに盛り上げつつ採算も目指していくという戦略で、黒字化までもうあとわずかというところのようだ。

・ビリー・ヘリントン兄貴のフィギュアがニコニコ直販で8000体も売れたという。フィギュアを作って売り出してしまうというセンスも、それを買ってしまう人が8000人もいるというノリも、いいっすね。

・この勢いは近未来の何を先取りしたものか、正確に見据えることによって新しい文化とビジネスが立ち上がっていく。なんて小難しいことを言ってないで今はひたすらここで遊ぶべきなのだろう。

PROFILE

渡辺浩弐
渡辺浩弐
作家。小説のほかマンガ、アニメ、ゲームの原作を手がける。著作に『アンドロメディア』『プラトニックチェーン』『iKILL(ィキル)』等。ゲーム制作会社GTV代表取締役。早稲田大学講師。