渡辺浩弐の日々是コージ中
第406回
3月14日「白日のもとに」
・昔はバレンタインデーに告白してホワイトデーに戻ってきたら絶対に付き合わなくちゃならなかった。それくらいの緊張感があったから良かったのだ。逆チョコなんて概念を出した瞬間に、バレンタインデー自体の意味をなくしてしまったんだよバカだなあ。もう2月14日はチョコレート記念日とか、3月14日はキャンデー記念日とかにしてしまうしかない。
3月15日「花粉症一揆を」
・かつてがんがんスギの木を植えまくったのは、戦争で焼け野原になった跡地に緑を増やそうとしたから……ではない。スギは各地で、日本古来の森や草原を潰して植えられたのである。木材需要が大きかった高度成長期まで、それは有効な投資案件だったからだ。
・金儲けのためだったのである。それはいい。問題は、経済効率が破綻し、伐採を放棄するに至った現在なお、そのモデルが続いていることである。農林水産省は今でも各地の美しい雑木林を燃やして、スギの植樹を進めている。その事業に多額の予算を確保し、つまり税金をつぎ込んでいるのだ。
・スギを大量伐採したり無花粉スギに植え替えたりする事業は本気でやればそんなに長くはかからないはずだ。しかし、それはできない。スギを増やすことを仕事にして給料をもらっている役人が未だにたくさんいる以上は。
3月16日「間を埋めるもの」
・ニワンゴの杉本社長、橋爪ディレクターらと会う。特に、ニコニコ動画上でのゲームのプロモーション効果について、しつこく尋ねてみる。直接聞いてるのは、この件についてまだどこにも、メーカーにさえもデータがないからだ。けれども、間違いなくテレビや雑誌を凌駕する媒体力が、そこに生まれているのである。
・そして一方でニコニコ生放送が、盛り上がっている。無名の個人がいきなり始めてすぐ100人くらいの視聴者が集まるのがすごい。今はだらだらしたおしゃべりが多いが、インターネットのように一人一人がやがてテーマを持ち、尖鋭化していくだろう。
・テレビ等マスメディアに携わっている人々は100人なんて、と思うかもしれないが、1テーマのマニア100人はマスコミの1万人に匹敵する。ライブハウスでいつでも100人集められるバンドならメジャーで通用する。
・取りあえず、つべこべ言うより自分でやってみなくちゃね。