コミックマーケット(コミケ)などの大規模展示会が開催できない状態となって久しい。コロナ禍に突入する以前は毎年夏と冬、会場を彩るコスプレイヤーたちを撮影するべく、カメコ(カメラマン)として参加していた僕。彼女たちに会いに行きたい……まるで、心にぽっかりと穴があいてしまったようだ。
そんなある日、Twitterを検索していると、フォロワー3万人以上の人気コスプレイヤーがユニークなコンセプトカフェをオープンさせたという情報をキャッチ。場所は編集部から近く、サラリーマンの街と呼ばれる新橋。居ても立ってもいられず、足を運んでみることにした。
撮影会でもトレンド。キャストは「競泳水着」
7月上旬の週末、JR新橋駅の烏森口を出ると、飲み屋街には人出が戻りつつあることに驚いた。桜田公園を過ぎたあたりで、今日の目的の店「競泳水着カフェ」の看板が目に留まった。
そう、今回は競泳水着を拝みに来たのである。看板には、かわいらしい女のコのイラストが描かれている。もしかして……?
「あ、いらっしゃいませー」
イラストそっくり。彼女が店長の酒乱にゃまさんだ。キャストはコスプレイヤーを中心に、フェチモデルから女子大生まで幅広い。コロナ禍でも「負けたくない」一心で競泳水着カフェを今年4月22日にオープンさせたという。
「このご時世で、どうしたらお客さんに来てもらえるか。撮影会やグラビアでも競泳水着がトレンド。単発のイベントではなく、常設店舗としては日本初なんです」禁断のローアングルも……1分動画撮影が可能!
コスプレとはいえ、競泳水着は“ガチ”。一着1万円以上するものまであり、実際の競技などでも着ることができる仕様なんだとか。しかしながら、素人目には何が違うのかわからない。
すると、「ここを見てください」とお尻を突き出す。一瞬ドキッとしてしまうが、上部の小さなタグがその証しなんだとか。ぴちっとしてボディラインが際立つ競泳水着。席に着いて乾杯しながらも、つい目がいってしまう。それに気づいたのか、「撮りますか?」とにゃまさん。通常のコンカフェなどでは、チェキが一枚1000円程度。一方、同店では1分の間、動画や写真が撮り続けられるというのだ。どんなポーズが好評かを聞けば、「そんきょの姿勢ですね」と言いながら、僕の目の前に大股開きでしゃがむ。キャストの了承を得れば、ローアングル撮影も可能。コミケで盗撮に悩むコスプレイヤーも多いが「お金を払ってうちで正々堂々と撮ってほしい」。
店がスタートして約2か月。SNSでじわじわと話題を呼び、開店時間には客が入る。なかには、ワクチンを接種したうえで地方から来たという人もいるとか。店内をパワフルに動き回る店長のにゃまさん。その裏には、信念が隠されている。今は亡き父親が、生前は飲食店を経営していた。最期に枕元で彼女に対して「絶対に成功してほしい」という言葉を残していったそうだ。
ひたむきに頑張る姿に、思わず胸が熱くなる。酔いが回ってきたせいなのだろうか。なんだか興奮と感動で忙しい夜だ。コミケなどのイベントは見通しが立っていないが、コスプレイヤーたちは逞しく生きているのだった。
【競泳水着カフェ】
住:東京都港区新橋3-8-5 さとぺんビル5F
営:16~20時
休:日曜
料:飲み放題60分3000円、缶もの1000円、キャストドリンク1000円、1分動画撮影1000円
※詳細はTwitter(@HEAVENkyouei)をチェック!
※営業時間や酒類提供の有無が変更になる可能性があります。店舗にお問い合わせください。
撮影/長谷英史
-
マエザワ エロ本出版社出身、元ギャル男雑誌編集者。無類の外国人好き。趣味は「夜の国際交流」
-
マエザワの他の記事