僕は約15年間、編集者・ライターの仕事を続けてきた。うまくいくこともあれば、いかないことも多かった。30代も後半、最近は今さらながら「この道は本当に合っているのか」と悩むようにもなっていた……。
「お久しぶりですね。あの頃は正直、こんな日が来るなんて夢にも思いませんでしたよ!」
そう言って、コスモ・オナンさん(28歳)が目を細める。彼女はSNSで「当たる」と評判の占い師で、人生相談ができるスナック「Pierrot」のママだ。メンエス嬢から占い師兼スナックのママに転身
オナンさんとの出会いは数年前。渋谷のメンズエステだった。当時はメンエス嬢をやりながら、身の回りで起きた出来事を下ネタ交じりに「note」へ書き綴っていた。記事をたまたま目にして最初に抱いた感想は「このコやべえな(笑)」だったが、妙に引きつけられてしまい、僕は翌日メンエスの予約を取っていた――。
あれから時がたち、彼女は占い師に転身。「note」がきっかけで小説集の出版まで決まり、今後要注目の作家に成長。さらに、今年に入ってから京王井の頭線・富士見ヶ丘駅近くのスナックでママになったのだとか。積もる話もある。そこで、彼女にもう一度会ってみたくなったのだ。
今、さまざまな才能が開花しつつある彼女だが、もともとは普通のOLだった。しかし、あまりに退屈すぎて週5で神社に通い、“何かさせてくれ!”と祈り続けていたという。そんな願いが通じたのかどうか定かではないが、数奇な運命を辿ることになった。
「コロナ禍で紆余曲折あって仕事を辞めて。SNSアカウントや『note』も消して、地元に帰ろうと思っていたときに、『もったいないよ』と言ってくれた人がいて。なんとか踏みとどまった」
とはいえ、なぜ占い師に?「幼少期から霊感が強くて。頭のなかに未来の出来事が書かれたチラシが出てくることもあったので。それで1年前ぐらいから本格的に学ぶようになったんです」
オナンさんは守護霊や前世と会話をすることで、仕事や恋愛などを占える。スナックには、人生に行き詰まった客が訪れるという。
「有名な俳優を占ったこともあるんですが、はたから見たら成功している人でも、みんな悩んでいるんだなって実感しました」
的中で鳥肌が立った
個人的にやっぱり気になるのは仕事に関して。実際に守護霊から見てもらうことに。オナンさんは、上半身をゆらゆらと揺らしながらノートにメモを取り始めた。そして、開口一番こう言った。
「父方の家系で建築関係の人っていますよね?」鳥肌が立った。じつはその通りなのだ。すると突然、店内の電球が呼吸をするようにピカピカと点灯。演出なのかと思いきや、そうではないという(ビビった)。
「守護霊から強く影響を受けているのですが、背中を見せながら走るリーダータイプ。また、ものすごい情報量を扱う仕事や、経済関係にも向いていますね」
自分が今まで歩いてきた道のりと照らし合わせた。それは、まるで魂との交信をしたような不思議な感覚だった。自信を失いかけていたことに対して、コスモさんが「大丈夫」と背中を押してくれる。僕は、もう迷わない。
【Pierrot】
住:東京都杉並区高井戸西2-10-9 地下1階
営:12:00~20:00(※まん延防止等重点措置期間中)
料:チャージ500円、ドリンク各種650円~、占い15分3000円~(※相談内容により要確認)
営業日や時間などの詳細は、Twitter(@BanquetCircus)でチェック!
撮影/長谷英史
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マエザワ エロ本出版社出身、元ギャル男雑誌編集者。無類の外国人好き。趣味は「夜の国際交流」
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