家に常にストックするほど赤ワインが大好物。当連載の取材にかこつけて「せっかくならワインバーを堪能しよう!」と店を探していると、「マデイラワイン」を専門に扱うバーを見つけた。ワインというと、赤、白、泡のイメージが一般的だが、マデイラワインとは何なのか。早速、店を目指した。
一杯300円から堪能できるマデイラワインの奥深い世界
大塚駅にある「レアンドロ」。扉を開けると店主の鈴木勝宏さんが出迎えてくれた。
メニューリストを見ると、ワインの銘柄が筆記体で羅列されていて、どれを選んでいいのやら……。悩んでいると鈴木さんが声をかけてくれた。
「ウチでは一杯300円から提供しているので、まずはリーズナブルな銘柄はいかがでしょう。マデイラはカクテルのようにソーダやトニックで割ったり、ウイスキーと混ぜて飲んだりと飲み方が幅広い。味がしっかりしているので、エスニック料理や刺し身など、ワインには合わないとされている料理にも合いますよ」
まずはさっぱりとしたマデイラワインのトニック割りをいただく。養命酒のような甘くスパイシーな風味に、爽やかなトニックが抜群に合う。「マデイラワインはポルトガル発祥で、1700年代半ばに出来たと言われています。もともと大航海時代に、船員が嗜好品として白ワインを積んでいたんです。すると樽詰めされたワインは、長期の航海で熱や日光をふんだんに浴び、煮詰まりながら酸化熟成されていく。その結果、アルコール度数が高くて風味が濃いマデイラワインが完成したんだとか。マデイラワインは酸化して樽熟成が進む唯一のアルコール飲料なので、劣化の進み具合が緩やか。ウチには300年モノもありますよ」
店主の話を聞いていると、牛肉やマッシュルームを、白ワインにデミグラスソースなどで煮込んだマデイラの伝統料理が出てきた。辛口のワインと一緒にフォークでつつくと、ウイスキーのようなスモーキーな風味が料理と絡み合った。「’07年の創業以来、20回マデイラに出向いてマデイラワインに関する最新の情報を仕入れています。2015と17年には現地に滞在して、ワイン造りのワイナリー講習を受けたこともありました」
店内には200種類弱のマデイラワインが並び、飲食店として取り扱っている本数でギネスに認定されたほどだ。
「僕は今年で64歳になるけど、マデイラを広めたい一心で、去年は一日も休まずに営業していました。お客さんにうんちくを語り始めると止まらなくなってしまいますね(笑)」
「レアンドロ」
住:東京都豊島区北大塚2-8-6 第2不二ハイツ105
営:平日は12:00~14:00、18:00~26:00、土日祝日は12:00~16:00、18:00~26:00
休:なし
料:ワインは一杯300~22万円。ランチは800円のセットを提供
HP:(https://www.cafebarleandro.com/)
-
メルロー 無類の酒好き女子。特にワインには目がない。自分よりも酒が強い男性に惹かれやすい
-
メルローの他の記事