ギネス記録にも認定された大塚の隠れ家的ワインバー。63歳の店主が無休で営業中

D6A6914 家に常にストックするほど赤ワインが大好物。当連載の取材にかこつけて「せっかくならワインバーを堪能しよう!」と店を探していると、「マデイラワイン」を専門に扱うバーを見つけた。ワインというと、赤、白、泡のイメージが一般的だが、マデイラワインとは何なのか。早速、店を目指した。

一杯300円から堪能できるマデイラワインの奥深い世界

D6A6924 大塚駅にある「レアンドロ」。扉を開けると店主の鈴木勝宏さんが出迎えてくれた。
 
 メニューリストを見ると、ワインの銘柄が筆記体で羅列されていて、どれを選んでいいのやら……。悩んでいると鈴木さんが声をかけてくれた。

「ウチでは一杯300円から提供しているので、まずはリーズナブルな銘柄はいかがでしょう。マデイラはカクテルのようにソーダやトニックで割ったり、ウイスキーと混ぜて飲んだりと飲み方が幅広い。味がしっかりしているので、エスニック料理や刺し身など、ワインには合わないとされている料理にも合いますよ」

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一度飲んだらクセになる風味豊かなマデイラワイン

 まずはさっぱりとしたマデイラワインのトニック割りをいただく。養命酒のような甘くスパイシーな風味に、爽やかなトニックが抜群に合う。

「マデイラワインはポルトガル発祥で、1700年代半ばに出来たと言われています。もともと大航海時代に、船員が嗜好品として白ワインを積んでいたんです。すると樽詰めされたワインは、長期の航海で熱や日光をふんだんに浴び、煮詰まりながら酸化熟成されていく。その結果、アルコール度数が高くて風味が濃いマデイラワインが完成したんだとか。マデイラワインは酸化して樽熟成が進む唯一のアルコール飲料なので、劣化の進み具合が緩やか。ウチには300年モノもありますよ」

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牛肉・玉ねぎ・マッシュルームを、白ワインやデミグラスソース、ケチャップなどで煮込んだマデイラ地方の伝統料理。1320円

 店主の話を聞いていると、牛肉やマッシュルームを、白ワインにデミグラスソースなどで煮込んだマデイラの伝統料理が出てきた。辛口のワインと一緒にフォークでつつくと、ウイスキーのようなスモーキーな風味が料理と絡み合った。

「’07年の創業以来、20回マデイラに出向いてマデイラワインに関する最新の情報を仕入れています。2015と17年には現地に滞在して、ワイン造りのワイナリー講習を受けたこともありました」

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 店内には200種類弱のマデイラワインが並び、飲食店として取り扱っている本数でギネスに認定されたほどだ。

「僕は今年で64歳になるけど、マデイラを広めたい一心で、去年は一日も休まずに営業していました。お客さんにうんちくを語り始めると止まらなくなってしまいますね(笑)」

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TINTA HEGRA/酸味と甘味が溶け合う、フレッシュな味わい。1950年製。一杯6600円。微かにフローラルでフルーティーな香りがする。ポルトガルで行われるワインコンテストで、全ジャンルのワインの中で最優秀賞を獲得した年も


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BARBEITO/紹興酒のような風味で、やや甘い余韻が残る。1943年製。一杯1万3220円。店を何度か訪れたアントニオ猪木氏の生まれた年に製造されたこともあり店主の思い入れが強い。ボトルが紙ラベルでないのもヴィンテージの証拠


BORGES FAMILY/シナモンの濃厚な香り、口当たりはさっぱり。1720年に製造された世界で2番目に古いマデイラワイン。一杯22万円。200年以上前に樽詰めされた後、1930年頃に瓶詰めされた。風味が凝縮している


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COSSART GORDON/芳醇でスパイシーな香り、甘さと渋さが融合。1845~55年に製造された一品種10年分のワインがブレンドされている。一杯3万6400円。ほどよく酸化熟成されていて中辛口にも感じる

「レアンドロ」
住:東京都豊島区北大塚2-8-6 第2不二ハイツ105
営:平日は12:00~14:00、18:00~26:00、土日祝日は12:00~16:00、18:00~26:00
休:なし
料:ワインは一杯300~22万円。ランチは800円のセットを提供
HP:(https://www.cafebarleandro.com/

レアンドロ撮影/鈴木大喜

メルロー 無類の酒好き女子。特にワインには目がない。自分よりも酒が強い男性に惹かれやすい
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