敬語NGの店内で距離がグッと縮まる
「いらっしゃいませ~。チョリザース(ピース)」
ムムッ? いきなりそうきましたか。行き慣れない渋谷という土地柄もあり、かなりのアウェー感。「電波少年」のバウバウ松村の心境でそそくさと席につく。
「お兄さん、な~に? そのハット。あ~わかったぁ! ケツメ! ケツメでしょ? 貸して、私もカブりたい~」
ヒョイッと帽子を取り、「代わりにこれあげる~」と、アイスクリームのかぶり物をかぶせてくるのは店長のきょんちゃん(26歳)。デビュー当時の宇多田ヒカルのようなタメ口調に、ついつい目元が緩んでしまう。
「ウチの女のコは敬語禁止だから。だって、トモダチ感覚で一緒に楽しみたいじゃない。あ、お客さんも敬語はダメだよ。言ったらテキーラ一気だかんね~」カフェというから、和やかにランチの展開を予想していたが、ちょっぴり波乱を感じる発言。夕方になれば店内の照明が少し落とされ、ナイトモードに突入。
「確かにギャルって閉鎖的に見えるかもしれないけど、男の人たちが思ってるより、ずっとオープンなんだよ。新橋系のトークも好きだし。それに、酔っちゃえば老いも若きも、男も女も関係ないじゃない。なんか悩みがあったら、このきょんママが聞いてあげるよ」そう言ってドーンッと胸を叩くきょんママ。酔いも手伝ってか、その姿が、出会った頃のまどか先輩とダブって見える。
「姉御――ッ(号泣)」
異世界の住人と思っていたギャルがこんなにも近い場所にいた。一回りも年下の女のコたちとフランクにトークを楽しみ、泣いて、笑う――そんな夜であった。
【ギャルカフェ・テンション】
東京都渋谷区宇田川町13-9 渋谷2ビル7F
電:03-6416-0419
休:無休
営:12~24時(ラストオーダー23時)
料:チャージ1000円(女性は無料)
「ハチ公(わんこ)そば」、「ガングロイケ麺(やきそば)」などメニューも充実
-
スギナミ 東京都生まれ。主な出没地域は中野、高田馬場の激安スナック。特技は「すぐに折れる心」
-
スギナミの他の記事