マイナースポーツ界で“世界一”な日本人選手たち――競技資金の捻出にも一苦労。世界選手権参加時に野宿も
ここ最近、「世界で活躍する日本人」などの話が人気を博している。
そして、マイナースポーツの世界には、実は世界チャンプ経験者やギネス世界記録を保持する日本人が数多く存在する。アスリートのマネージメント事業を行うスポーツゲインの代表・岩田一美氏は語る。
「マイナー競技・アマ選手を支援する一般社団法人、『アスリートエール』の利用者だけでも、50人以上の世界一経験者がいますね。なかには日本以上に海外での人気が高い選手もいます。スポーツゲインでフルマネジメントしているムエタイのリトルタイガー選手は、タイではテレビ出演するほどのスターです」
アスリートエールの世界一経験者のリストを見ると、ウイングスーツ(伊藤慎一選手)、スタッキング(瀬尾剛選手)、ラート(高橋靖彦選手)、24時間ウルトラマラソン(井上真悟選手)など、見慣れないスポーツがズラリと並ぶ。
ただ、マイナースポーツでは、世界一になったとしても楽ではない。競技資金をなんとか捻出しながら選手として活動している人が大半だという。
「たとえば水上バイクの小原聡将選手は、世界チャンプの経験もある実力者なのに、大会の開催国でその都度マシンをレンタルしながら戦っている。世界のトップ選手は専用マシンを保有し、各国レースに持ち込みしていますが、小原選手はレンタルのマシンでその選手たちに勝ってしまうんです(笑)。ほかの競技では、日の丸を背負う世界ランカーなのに、世界選手権参加時に公園で野宿をしていた選手もいます。世界選手権の優勝経験を複数回持つフリーダイバーの岡本美鈴選手も、以前は資金捻出に苦労していました」
オリンピック選手であれば、国や協会の手厚いサポートがあり、テレビ中継されるスポーツであればスポンサーもつくが、マイナースポーツはそうはいかないのだ。
「『ロゴを貼るからお金をください』ではスポンサーもつかないですからね。ネットも使ってファンとコミュニケーションを取り、地元に後援会を作って支援者を大事にし、企業の役に立つことをできる選手でないとスポンサー獲得は難しい。スポーツ選手のことを“脳筋(脳まで筋肉)”みたいな言い方をする人もいますが、マイナースポーツで世界一となり、競技を継続していくには頭の良さも必要なんです」
「日本人は凄い!」と世界で活躍する人々を見て盛り上がるのは勝手だが、「日本すげー」で終わったらそれこそ単なる自己満足だ。彼らの活躍や努力から何かを受け取り、自分自身も何かを頑張ってみるなり、そうでなくとも彼らの活躍に目を向け、競技自体に注目してみることが大切ではないだろうか。 <取材・文/週刊SPA!編集部>
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