日韓の“友好関係”の新しい一歩に…両国の国宝仏像を展示する展覧会が開催
東京国立博物館で開催中の、日韓国交正常化50周年を記念する特別展「ほほえみの御仏―二つの半跏思惟(はんかしゆい)像―」展では、両国を代表する半跏思惟像が1体ずつ、本館特別5室に展示されている。
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「半跏思惟」とは、椅子に座って片脚を踏み下げもう一方の脚を上げて組み、手の指先を頬に添え思惟(思案)する姿を表す。この像は元々インドが発祥で、出家する前の釈迦(シッダールタ太子)が民衆たちを思い、悩み考える姿がモデルと言われている。その後、中国から朝鮮半島へと渡っていった。
半跏思惟像がつくられるようになった6世紀頃の朝鮮半島は、南進する高句麗の攻勢を、百済と新羅が連携してしのぐという勢力関係が形成されていた。高句麗に押され気味の百済は、日本の軍事力と引き換えに、538年に仏教を伝えた。
577年には造仏工と造寺工が渡来し、日本の見習い工がその下で勉強を重ねた。そして鞍作止利(くらつくりのとり)という仏師により、面長で杏仁(アーモンド)形の目が特徴の日本初の仏像・飛鳥大仏がつくられた。
今回、日本代表として展示されている半跏思惟像は、7世紀後半につくられた奈良県の中宮寺門跡蔵の国宝・半跏思惟像。鞍作止利から二世代後の造仏工がつくったものと思われる。この時代の木彫仏としては一般的なクスノキを使用しており、ふくらみのある頬に伏せた目、微笑みを浮かべた優しい表情をしている。丸みのある緩やかな体躯に、流れるような華麗な衣文は鞍作止利の頃とは異なる特徴も持つ。朝鮮半島からの文化をそのまま真似るのではなく、日本の中で独自に発展してきたものだ。
韓国代表は、韓国国立中央博物館所蔵の国宝78号半跏思惟像。6世紀後半制作のこの仏像は、資料がなく詳しい来歴がわかっていない。太陽と月を合わせた宝冠を被り、はっきりとした笑みを浮かべながらも厳かな表情は、超越者としての仏を表す。
線で刻む波紋状の衣の襞もこの時代の特徴で、金銅仏としては83.2cmの像高はかなり大きい。鋳造技術の高さからみて、宮廷などにあった特別な仏像だと想像される。
インドから中国、朝鮮半島を経て日本へと渡った「半跏思惟像」
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