更新日:2022年10月01日 01:19
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「『ポジティブ偽装』の人は病気になりやすい」数百人の病を改善させたメンタルトレーナーが断言

「無理やりポジティブを演出している人は後でしっぺ返しが来る」と梯谷氏

 ストレスを受けると、脳の「苦痛系回路」であるHPA経路が活性化し、健康が蝕ばまれていくことが明らかになっている。「病は気から」と言われるゆえんだ。  昨今の脳科学では動脈硬化を進行させ免疫系にダメージを与え、ガンや突然死を引き起こすキラーストレスの存在も確認されている。  こうした脳の動きは情動や思考回路に大きく左右されるため、それを修正することで医療の効果を最大限に引き出す取り組みを行なっているのが、メンタルトレーナーの梯谷幸司氏である。  2年半前から現在までの間に、標準医療に並行しながらガンや難病含め数百人のクライアントの病気が好転し、梯谷氏のメソッドを取り入れる医療関係者も増えているという。  しかし”病は気から”というと、やたらと「ポジティブに考える」、「前向きになる」などが推奨されるが、ここに大きな誤解がある。 「一見、前向きでいるように見える人でも無理している人はすぐにわかります。“いつも笑顔でいなきゃ”などと無理やり元気を装う人を私は『ポジティブぶりっ子』と呼んでいますが、こういう人はその反動で苦痛系回路がフル稼働しているので、肉体的にもダメージが蓄積しています」  成功者と呼ばれる人でも、晩年はガンや重病になるケースが少なくない。立場上ポジティブでいることを偽装せざるを得ず、つくられた自己イメージが肥大化し本来の自分が飲み込まれた結果、体の不調として表出すると梯谷氏は言う。 「ある芸能人が『私は24時間女優でいなきゃいけない』、『最高の私になれたらいい』と言っていたという記事を読んで、典型的な例だと思いました。さらに、弱音を吐く若手タレントを激しい調子で叱責していたともいいますが、これは彼女が自分自身の弱さを許容していないので、その怒りを他者に投影しているだけなんです。私のクライアントには、血を吐くような努力をして財や地位を得たが、幸せになるどころか病気になってしまったという人がほとんどです」

ポジティブを偽装する人々の体に溜まる深い闇

 こうした、「何かを乗り越える、克服する」という感覚は決してポジティブなどではなく、典型的な苦痛系思考回路だという。  何かを克服しようとしたときは同時に、「克服すべき悪いことがある」という問題回避的な前提が出てくる。そして、それを乗り越えようとすればするほど、自分の中で問題がどんどん大きくなるというパラドックスに陥る。ネガティブな方向に、全力でポジティブに突き進んでいる状態になるのだ。  場当たり的なリラクゼーションをしても、この“永久機関”の存在に気づかない限り苦痛系は動き続け、ストレスは湧き水のようにとめどもなく溢れてくる。  どの思考が元凶になっているかはケースバイケースであるが、梯谷氏のクライアントの実例を挙げると以下のようになる。それぞれ“根本原因”を見直し、修正していくとともに、病状が回復したという。 ・バセドー氏病となった30代の男性は、親の望みに従って弁護士となったが、思考を紐解くと「自分は親の犠牲者」という思いがあり、そんな自分自身を許していなかった。 ・脊髄にガンが発症した40代女性は、実家が貧乏で買いたいものを買えず、友達にバカにされながら育った。その記憶から、お金を稼げば稼ぐほど逆に「自分はバカにされている」という思いが継続し、さらにそんな自分を許していなかった。 ・膠原病を患った30代男性は、弟が病弱で「兄ちゃんはやりたいことができていいよね」と子供の頃から言われていた。思考の中では「自分が幸せになると弟を悲しませる」という思いと、幸せになろうとする自分との対立が起きていた。
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