ちばてつやさんの長寿の理由と漫画家としての原点<鴻上尚史>
― 週刊SPA!連載「ドン・キホーテのピアス」<文/鴻上尚史> ―
僕が進藤晶子さんと一緒に司会をしているBS朝日の『熱中世代』(土曜朝10時)に漫画家のちばてつやさんをゲストにお招きしました。
『あしたのジョー』や『のたり松太郎』のちばてつやさんです。現在、78歳になられて、日本漫画家協会の理事長をなされています。
こんなことを言ってはなんですが、週刊誌連載で国民的ヒットを出した漫画家さんは、みんな、過酷なスケジュールの結果、早めに亡くなっています。手塚治虫さんと石ノ森章太郎さんは60歳、藤子・F・不二雄さんは62歳です。
その話をちばさんにすると、「手塚さんの葬式の帰りに、漫画家仲間と『寝ないといけないねえ。運動しないといけないねえ』と話し合いましたよ」と仰いました。ものすごく説得力のあるシチュエーションです。
それでも、ちばさんは精力的に執筆活動を続け(なにせ、運動はするんですが、徹夜で執筆した後、寝ないまま野球の試合をするなんていう生活で)、50代で心臓疾患と網膜剥離をわずらい入院しました。その間に、奥様がスタッフに事情を話して解散させ、ちばさんが仕事部屋に戻ってきた時には、机もなかったそうです。奥様はこのまま仕事を続けさせたら夫は死ぬと思ったんですね。ものすごい英断です。それ以降、ちばさんは死なないために仕事をセーブします。
この連載で一度書きましたが、僕は、「人間の起きている時間は決まっているんじゃないか」と思っています。
水木しげるさんのエッセー漫画で、手塚さんと石ノ森さんが、『二日寝てない』だの、『もう40時間起きてる』だのとパーティで語っている描写がでてくるのですか、寝ないでずっと起きているから、60年で「人生の起きている時間」を消費したんじゃないかと思うのです。ちゃんと寝てたら、80歳ぐらいまで人生が続いていたかもしれません。

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