更新日:2022年10月29日 01:05
エンタメ

ちばてつやさんの長寿の理由と漫画家としての原点<鴻上尚史>

― 週刊SPA!連載「ドン・キホーテのピアス」<文/鴻上尚史> ― sleep 僕が進藤晶子さんと一緒に司会をしているBS朝日の『熱中世代』(土曜朝10時)に漫画家のちばてつやさんをゲストにお招きしました。 『あしたのジョー』や『のたり松太郎』のちばてつやさんです。現在、78歳になられて、日本漫画家協会の理事長をなされています。  こんなことを言ってはなんですが、週刊誌連載で国民的ヒットを出した漫画家さんは、みんな、過酷なスケジュールの結果、早めに亡くなっています。手塚治虫さんと石ノ森章太郎さんは60歳、藤子・F・不二雄さんは62歳です。  その話をちばさんにすると、「手塚さんの葬式の帰りに、漫画家仲間と『寝ないといけないねえ。運動しないといけないねえ』と話し合いましたよ」と仰いました。ものすごく説得力のあるシチュエーションです。  それでも、ちばさんは精力的に執筆活動を続け(なにせ、運動はするんですが、徹夜で執筆した後、寝ないまま野球の試合をするなんていう生活で)、50代で心臓疾患と網膜剥離をわずらい入院しました。その間に、奥様がスタッフに事情を話して解散させ、ちばさんが仕事部屋に戻ってきた時には、机もなかったそうです。奥様はこのまま仕事を続けさせたら夫は死ぬと思ったんですね。ものすごい英断です。それ以降、ちばさんは死なないために仕事をセーブします。  この連載で一度書きましたが、僕は、「人間の起きている時間は決まっているんじゃないか」と思っています。  水木しげるさんのエッセー漫画で、手塚さんと石ノ森さんが、『二日寝てない』だの、『もう40時間起きてる』だのとパーティで語っている描写がでてくるのですか、寝ないでずっと起きているから、60年で「人生の起きている時間」を消費したんじゃないかと思うのです。ちゃんと寝てたら、80歳ぐらいまで人生が続いていたかもしれません。
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かくまってくれた中国人
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ドン・キホーテ 笑う! (ドン・キホーテのピアス19)

『週刊SPA!』(扶桑社)好評連載コラムの待望の単行本化 第19弾!2018年1月2・9日合併号〜2020年5月26日号まで、全96本。

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本連載をまとめた「ドン・キホーテのピアス」第17巻。鴻上による、この国のゆるやかな、でも確実な変化の記録

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