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憲政史研究者・倉山満が「中国の嘘」をさらす

6月4日、八重洲ブックセンターにて『嘘だらけの日中近現代史』を上梓した倉山満氏の新刊発売記念講演が行われた。その模様をダイジェストでお伝えする。
倉山満氏

「そもそも『中国5000年の歴史』など大嘘です」

「はじめにお断りしなければなりません。実は、この本の題名がいきなり嘘なんです。なぜか? 中国に近代などないからです。あるのは『独裁の古代』と『殺戮の中世』をひたすら繰り返すだけで、近代になったことがない。もちろん今も、です。そして、ある意味、古代のほうがまともともいえる。なぜなら、古代は独裁という秩序があって、『逆らうやつは死刑、死刑、死刑!』という規律があったからです。古代から今に至るまで『賄賂をとったやつは死刑』という法律があるんですけど、この法律を順守したらジェノサイドになりはするのですが(笑)」 ――なぜそうした法律があるのでしょうか? 「日常において賄賂がないと物事が進まないような状態にしておくんです。そうすると、悪いことをしなきゃ生きていけない。権力者は都合が悪くなると、簡単にしょっぴくために、『許してほしかったら逆らうなよ』となる。これはまだましなほうで、古代から中世になってくると、『ひたすら殺し合い、殺し合い、殺し合い』になります。これが長い場合だと400年続きます。日本人が『近代』であろうと想像するような価値観や基準はいまだに確立されていません。近代国家の尺度で中国を判断するから色んなことを見誤る、とも言えるのです」 ――『嘘だらけの日中近現代史』の中で、中国の最大の「嘘」は「中国5000年の歴史」だと喝破しています。 「『中国、誰それ?』問題です。最近、NHKが『中国文明の謎』という特集をやっていたのですが、中国5000年の歴史の源流に迫るとかなんとか。夏王朝の『夏』は中華の『華』だ、みたいな実にくだらない番組だったのですが、いったい何を根拠に言っているのか、と。確かに中国大陸は5000年以上前からあったでしょう。しかし、『漢民族』や『中国人』が一貫して中国を支配していたことなどありません。むしろ、異民族に支配されていることのほうが多い。5000年だか6000年だかの間に何回国が滅んだのか、と言いたいですね」 ――中華人民共和国のプロパガンダにお付き合いしているNHKというのも変な放送局です。 「辛亥革命を経て1912年に建国された中華民国もまた中世です。なぜなら、『ここはわが中華帝国の領域だ』と言ったところをまともに統治した政府が一つもなかった。一度も一つもないってすごい、中世ですね。だから中華民国は、『明』や『清』みたいな王朝の代わりに中華民国があったわけではなくて、五代十国とか、五胡十六国とか、あれと同じ動乱状態が中華民国時代なんです。ちなみに、その前の『清』は満洲人の王朝です。異民族の王朝ですから、そもそも中国ではありません。『清』の前の『明』は、『清』の領域から『満洲・モンゴル・ウイグルイスラム居住区・チベット』を抜いたところですから、すでに四方向を異民族に包囲されている状態です」 ――確かに、中国人とひとくくりにされると、日本人の感覚では、漢民族もモンゴル人も同じように感じてしまいますが、彼らはどちらかというと、不倶戴天の敵であり、同一民族ではない。 「その前の『元』はフビライ・ハンってモンゴル人ですからね。中国人が主張する『中国5000年の歴史』って、本当に続いてるの?って(笑)。フビライ・ハンとかヌルハチが中国人なんだとしたら、ダグラス・マッカーサーも日本人です(笑)。そんな当たり前のことを彼らは『中国5000年とか6000年』とか言い張るわけだからすごい」 ――新刊の中では、中国は3つの法則でできていると指摘されています。 「とても簡単で、(1)『力がすべて』、(2)『陰謀でごまかす』、(3)『かわいそうな人たち』の三要素です。1921年から1922年にワシントン会議というのがありまして、この会議は第一次世界大戦が終わって、ヨーロッパのほうではベルサイユ会議っていうのをやって新秩序を考えようとしたものです。アジア太平洋でも、日本とアメリカが公式に大国として認知され、今後の関係を考えようということで開催されました。そこで9か国条約という間違った条約を結んでしまいます。正確に言うと、中華民国に利害を持つ8か国が、『中華民国が主権国家になるのを応援してあげよう』条約という、訳のわからない条約なんですが、そもそも、条約は、主権国家だけに結ぶ権利があります。8か国による『中華民国頑張れよ』条約であれば、まだわかる。アメリカに頭が悪い人がいて、『中国も入れてあげよう』と意味不明なままに入れてしまった。するとどうなるか? じゃあ、条約を破ったやつがいたらどうするんだという話のときに真っ先に破ったのが中華民国です。そもそも主権国家になる気がないという、そういう人たちだった」 ――日本の場合は不平等条約を押しつけられたら、頑張って富国強兵をやって、軍事力や経済力を身につけてから跳ね返す行程がありました。 「異人斬りとかするやつを抑え込み、この国にパスポートを発給しても大丈夫だという体制をつくった。ちゃんとした法律をつくって文明国として諸外国に認めさせたわけです。当初は無理やり押しつけられた条約でも、ちゃんと正式な手続きに従って変えさせようと努力してきたわけです。その点、中国はすごい。無理やりさせられた条約は守らないのはもちろん、ちゃんとした約束も守らない。ワシントン会議に話を戻すと、8か国が集まり、そこでヨーロッパ外交界のドンと言われたフランス外務大臣のブリアンという人が“What is China?”と言い出した。つまり、満洲はチャイナに含むのか? その他諸々どうなのか? と言ったら、誰も答えられないままに条約を結んでしまった」 ――最初からデタラメな状態でことが進んでいった、と? 「そんな状態の土地で日本が侵略したと言われても困るわけです。そもそも満洲が中華民国のものなのかどうか、という点からいい加減だった。それでも日本は悪者だと言ってくる。これがチャイニーズのプロパガンダの手口です。日本人はそんな嘘を世界の誰が信じるのかと考えていた。しかし、中国があまりに執拗に繰り返すので、諸外国は簡単に騙されてしまった。そういったやり口に日本人は対抗すべきだった。現在でも、中国に毒餃子を食べさせられました。東日本大震災のとき、尖閣に中国海軍が押し寄せ……、いや違った、漁船でしたね。民間人の漁船が押し寄せてきたときも、『中国許すまじ!』といったんは目覚めたのですが、二度寝してしまう。新聞や経済誌が『ルック・チャイナ!』とか言うと、また中国に商売しに行く。賢いビジネスマンは家族を連れずに行きます。そしたら中国も然る者で、『いや、美味しいものを食べられますよ』とか言ってカラオケ屋に連れて行ってハニー・トラップに引っかける」 ――そういう日本人のために、中国の素顔を白日の下に晒したいと? 「まずは根本的に知りましょうと。ここ40年ぐらいの日中国関係というのは、援助交際で一方的に金を巻き上げられて、そのうえドM、DVの一方的にやられ役なんです。しかも、よく見ると相手は厚化粧のおばさん。そういう趣味の人はいいのですが、国家全体がそうだと困るわけです。そういう人に『目を覚ましてください。スッピンを見ろ』と言いたい」  倉山満氏の舌鋒は鋭さを増すばかり……。次回もご期待ください。 <取材・文/日刊SPA!取材班 撮影/石川徹> 【倉山満氏】 1973年、香川県生まれ。憲政史研究者。中央大学大学院博士前期課程を修了。在学中より国士舘大学日本政教研究所非常勤研究員を務め、同大学で日本国憲法を教え現在に至る。2012年、希望日本研究所所長を務める。著書に『誰が殺した? 日本国憲法!』(講談社)、『検証 財務省の近現代史』(光文社)、『嘘だらけの日米近現代史』(扶桑社)など。HP「倉山満の砦(http://www.kurayama.jp/)」「倉山塾(https://kurayama.cd-pf.net/)」を主宰
嘘だらけの日中近現代史

嘘にまみれた中国の正体

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