ISIS支配地域に“日本人のフリ”をした中国人が押し寄せている!?
日本政府の努力もむなしく、ISIS(通称“イスラム国”)に拘束されていた日本人二人が殺害された。まずは亡くなられた後藤健二さん、湯川遥菜さんに哀悼の意を表したい。
無残な結末に衝撃冷めやらぬ一方、ISISに日本人構成員がいるという情報も飛び交っている。
「週刊文春」2月5日号では29歳の日本人女性がイスラム系フランス人夫とともに渡航したと報じており、2/3発売の週刊SPA!においても、日本人構成員についてさらに詳しく掲載している。
だが、さらに仰天するのは「日本人を偽って」渡航する集団がいる可能性があるというのだ。ISIS支配地域での取材を行ったジャーナリストの鈴木美優氏は、次のように語る。
「日本人戦闘員がいるという話は、現地で何度も耳にしました。私もヌスラ戦線の戦士から、『日本人戦闘員が13人来ていて、半分はヌスラ戦線、半分はアフラール・シャームに割り当てられた』と聞いた。『こんなヤツが来た』と言って、その人たちが持っていたという日本のパスポート画像も見せてくれました。ただ偽造の可能性もあるし、彼らが本当に全員日本人であるとは思っていません」
支配地域にはウィグル族の過激派組織を中心とした中国国籍者が300人以上入り込んでいると言われる。
ウィグル人の風貌は一般的な東アジア人とは異なるためわかりやすいが、鈴木氏によると中には日本人に似た人も何人か紛れ込んでいたという。中国政府がアサド政権を支持しているため、漢族の風貌である場合は、まずスパイを疑われ、そう簡単には入り込めない。
「現地にアジア人が13人もいたらかなり目立つし、まず中国人だと疑われます。私も日本人3人で歩いていると自由シリア軍の兵士がやってきて『中国人じゃないだろうな』と尋問され、パスポートを見せてようやく解放してもらったという経験があります。人質事件とは裏腹に現地では本来、日本人というと通りが良くなるため、それを利用して入って来る人がいてもおかしくないとは思います」
日本人をかたる中国人、またはその他がいるとすれば、その理由は何か。シリア・イラクで取材経験のあるジャーナリスト、村上和巳氏はこのように話す。戦闘員として参加する場合は、忠誠の証拠としてパスポートは焼却されるというが……。
「1つには、中国パスポートの信頼度の低さがあると思います。中国出国後の入国審査や渡航の自由に、日本と中国の旅券では雲泥の差がありますので。また非戦闘員ではなく単なる参加の場合、帰国後の検挙も理由として考えられるでしょう。それ以前にウイグル関係でイスラム教徒のテロ活動に目を光らせている中国の場合、日本以上に海外でのイスラム教テロ参加者に厳しく対応する可能性が高い」
また万が一、身分を偽っていることがISISにバレたとしても、たいした痛手にはならない。
「ISISの敵はあくまでも英米で、中国とはさほど利害関係がない。有志連合に加盟している日本政府のほうをよほど敵視しているのはいうまでもないでしょう」
いずれにしろ、これ以上日本国民に被害が及ぶことがないことを願うばかりだ。 <取材・文/日刊SPA!取材班>

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