元AKB48・星野みちる、30歳の節目「そろそろ売れないとヤバいかなって(笑)」

元AKB48・星野みちる 2005年にAKB48の1期生として芸能界デビューした星野みちるは、2007年にグループを卒業後、シンガーソングライターに転向。2012年、VIVID SOUNDに移籍したのを機に音楽性に磨きをかけ、年々ポップ・ミュージック愛好家からの評価も高まっている。

 9月2日にリリースした約1年ぶりの3rdアルバム『YOU LOVE ME』も、ヤン富田、小西康陽など日本を代表する豪華プロデュース陣を迎えた意欲作で、2015年の年間ベスト・アルバムを争うであろうバラエティに富んだシティ・ポップの名曲がずらりと並ぶ。

 現在、本作を引っ提げて精力的にライブ活動を行っている彼女にアルバム全曲解説、前半戦「元AKB48・星野みちるの玄人すぎる楽曲世界を覗く」(http://nikkan-spa.jp/972656)に続きアルバム後半を解説してもらった。

――アルバム後半戦となる「腰抜け男子にアイラビュー」はシングルカットされたキャッチーな楽曲ですが、疾走感があってライブ映えする曲ですよね。

星野:けっこうアイドルイベントに出ることが多いんですけど、アイドルの方ってすごく会場を盛り上げるじゃないですか。そんな時にどうすれば負けずに印象を残せるのか皆で話し合ったんです。でもアイドルの方たちに合わせたような曲にはしたくないからってことで、この曲が出来上がったんです。早い曲は苦手なので、ボイトレの先生に鍛えて貰いました。

――ライブでは間奏で「L・O・V・E ラブリーみちる へっぽこポンコツ腰抜けラビュー」という、80年代アイドルを彷彿とさせるコール&レスポンスがあります。

星野:レコーディングが終わってから、はせさんが「お客さんにL・O・V・Eをやらせよう」って言い出して作ったんです(笑)。「またまた~」って感じだったんですけど、すっかり定番になりました。

――続く『MISTY NIGHT,MISTY MORNING』は、どこか懐かしさを感じさせるジャジーな楽曲です。

星野:ジャズはオシャレの塊みたいなイメージで、カッコ良いなって思いつつ、難しそうなので自分が歌うとは想像もしていなかったです。でも歌ってみると気持ち良くて、またやってみたいですね。レコーディングに参加してくださった矢舟テツローさんのピアノも大好きです。

――ジャズを聴いたことはあったんですか。

星野:昔、ピアニストの上原ひろみさんのライブを観に行ったことがあります。これも前に所属していた事務所の方に誘われたんですけど、すごくリズムが複雑で圧倒されました。ただ、それっきりジャズは聴いてないんですけど、8月に『JAZZ JAPAN』の表紙をやらせて頂きました(笑)。

――「INTERSTELLAR」はスペーシーでスケールの大きさを感じさせる曲ですね。

星野:宇宙っぽい感じで、この曲も音が厚いです。はせさんが作った曲なんですけど、毎回アルバムには星にまつわる曲があって。宇宙っぽい曲がきた時は「ガツン!」って歌うよりは、フワフワ歌うようにしています。そう言えば、この曲で覚えた音楽用語があるんです! ポルタメント(※ある音から次の音へと滑らかに、少しずつ音程を替えながら移行する演奏技法)って言葉なんですけど、レコーディングの時に「ポルタメントみたいに歌って」と言われて、「何ですかそれ?」って訊いたら「ヒュ~みたいな感じだよ」と(笑)。

――ヒュ~で伝わるのもすごいですね(笑)。

星野:次の「月下香夜曲」も壮大な宇宙を感じさせる曲で、やっぱりポルタメントが重要で(笑)。ずっと私はピアノをやっているから、キチッと音程を合わせたくなっちゃうんです。だからポルタメントで歌うのは苦戦しました。

――「行きたい方へ」は作曲が星野さん、作詞がはせさんと星野さんの共作です。

星野:曲を作った時に自分の中でイメージが出来上がっていて、「自分で書きます!」って言いました。これから自分の歩む道を書きたいなと思って作詞したんですけど、それを所々はせさんが「このフレーズのほうがグッとくるんじゃないか」って直してくれて。いずれライブでピアノの弾き語りで披露したい曲ですね。

――ラストを飾るのはヤン富田さんが手掛けたユニット「DOOPEES」のカバーで、ライブ会場限定発売のシングル「窓から~思い出すために~SOME DAY, THAT PLACE IN TIME<メドレー~」です。編曲とギターをヤン富田さん自身が手掛けています。

星野:ヤンさんがオファーを受けてくれた時に、「窓から」のカバーが私に合うんじゃないかと提案してくれて。さらにメドレーにしたいという希望があったんです。

――DOOPEESのボーカルは少女だから、星野さんのイメージとは全く違いますよね。

星野:声が特徴的で、可愛い声だったので、どう頑張っても無理なんじゃないか、私で大丈夫かなって不安でした。ただレコーディングの時に初めてヤンさんにお会いしたんですけど、「DOOPEESを真似しちゃダメ。大人っぽいまま歌ってくれればいいよ」って言ってくださったのでホッとしました。

――ヤン富田さんはどういう雰囲気の方なんですか。

星野:VIVID SOUNDのスタッフ全員がヤンさんのファンなので、「ヤンさんが来る!」ってピリッとした雰囲気で。私にもピリピリ感が伝わってきたんですけど、ヤンさん自身は穏やかで優しい方でした。歌い方の指示も技術的なことは言わずに「心だから」と。途中で詩の朗読もあるんですけど、入口の小節だけ言われて、後のタイミングは「感情の赴くままに」と自由にやらせて頂きました。それはそれで緊張したんですけどね(笑)。3曲を分けずに、全部通してレコーディングするのでプレッシャーも大きかったんですけど、3回目でOKが出ました。

――初めてアルバムを通して聴いた時はどんな感想を持ちましたか。

星野:いろんな方が曲提供してくださったので、今まで以上に濃い内容になったし、曲調も多彩だなと。胸を張って自信作と言えるし、タワレコメン(全国のタワーレコード・スタッフが世間で話題になる前のアーティストをいち早くピックアップする独自企画)に選ばれた時は本当に嬉しかったです。

――「アイドル初のタワレコメン」と話題になりましたが、アイドルって意識は星野さんの中にあるんですか。

星野:ないです(笑)。

――でもアイドルイベントに出る機会は多いんですよね。

星野:だけど、どこ行っても最年長ですよ……。中には中学生の方までいますからね。

――11月19日で30歳と節目の年ですからね。実感はありますか。

星野:自分の中では何も変わらないです。そろそろ売れないとヤバいかなって思うぐらい(笑)。

――でも着実に認知度は高まっているじゃないですか。

星野:ちょっとずつ過ぎて、あと何年かかるんだろうって。もっとバーッと売れたいんですけど、聴いてくれる人が増えているのは実感しますね。VIVID SOUNDに入る前は、CDを持ってショップ周りをしても「結構です」って断られてばかりで。でも今回はどこのショップに行っても歓迎してくださって、泣きそうになるほど嬉しかったです。今年は、もう一枚シングルを出せそうだし、もっと多くの地域に歌いに行きたいですね。

【ライブ情報】
11/19(水)19:00~ 星野みちる「星誕祭」 会場:VIVID SOUND STUDIO
<取材・文/猪口貴裕 写真/石川真魚>

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