NASAも注目!日本の「摩擦研究」が世界中の道路の安全を守っている
メジャーなヒット予測には取り上げられず、一般的には知られていない……けれども、’16年、スゴいイノベーションを起こすかもしれない、そんな明るい話題や技術を探ってみた
’15年には宇宙ステーション補給機「こうのとり5号」が打ち上げられるなど最近、宇宙事業への日本の貢献が著しいなか、「摩擦」技術でNASA(アメリカ航空宇宙局)に注目されている人がいる。
「ペンが机から落ちないのも、人が立てるのもすべて摩擦のおかげです」。熱く語る日邦産業の安部裕也社長。この「摩擦」に対する飽くなき探究心が、今や世界中の道路の安全を守っていることは、一般的には知られていない。
同社は世界でも数少ない、ポータブル型「滑り抵抗測定器」を製造する中小企業。道路は適度な摩擦がないと車や人が安全に往来できないため定期点検が必要だが、従来型の計測器は車に搭載され、それを走らせることでしか計測が不可能だった。日邦産業が開発した「D.F.テスター」はコンパクトな上、計器を路面に置くだけで済むため、短時間の通行止めで、検査の遂行を可能にしたのだ。
製品の評判は海を越え、海外の企業や研究機関からも注文が殺到。ついには、NASAまでも同社に滑走路の摩擦抵抗の調査を依頼してきた。13年に及んだ調査の結果はいまだ公表されていないが、近い将来、その成果が公表され、世界を驚かせるかもしれない。
【安部裕也氏】
商学部卒業後、専門商社へ。1967年、日邦産業を創業、代表取締役に。自社製品の研究に携わるため、60歳にして大学院入学、工学博士号修得
取材・文/岡野孝次 藤村はるな 古澤誠一郎 小原美千代(本誌)
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