飛行機事故での死亡リスクを回避する技術
バス事故、自然災害、テロ、食生活etc……思いがけない不慮の事故によって命を落とす日本人の数はなんと年間約4万人。予想だにしない人生終焉のリスクとどう向き合うべきか、有識者への取材を基に「死亡リスクをゼロにする技術」を紹介する!
台湾のトランスアジア航空235便墜落事故、ドイツのジャーマンウイングス9525便墜落事故など、昨年も頻発した航空機の墜落事故。かつては「世界一安全な乗り物」と謳われた航空機だが、安全神話は崩壊してしまったのだろうか?
「そんなことはありません。日本の航空会社では、’85年の日本航空123便墜落事故以来、死亡者が出る事故は1件も起きていません。毎日全世界で何万便と飛んでいるにもかかわらず、旅客機が墜落して死者が出る事故は年に数件あるかないかという確率です」
そう語るのは航空ジャーナリストの坪田敦史氏。近年人気のLCCについてもこう解説する。
「日本では、『LCCだから危ない』ということはないと考えていいと思います。機内食や設備の縮小、運航本数などがコスト削減対象で、技術が削られているわけではありません。ただし、海外ではパイロットの技術や健康管理について、日本ほど厳格ではない会社もあるので要注意です」
そういった海外のケースも踏まえたうえで、最良のリスクヘッジは、「安全な航空会社を選ぶ」ことに尽きるという。
「日本ならばANAとJALなど、やはり“大手”とされる会社を優先すべきでしょう。日本からの旅行者も多い台湾や韓国ですが、これらの国の航空会社ではお粗末な操縦ミスが近年何度か起こっているので、避けるのが無難です」
もちろん、乗った後の対策も忘れてはいけない。
「着用サインが出ていないときでもシートベルトを締めてください。乱気流に巻き込まれて急激に高度が下がり、乗客が天井に打ちつけられて死亡した事例もあります。また、後方通路側で非常口に近い席を選べば、万が一の墜落時にも助かる確率が高くなります」
こうした小さなリスクヘッジの積み重ねがいざというときの生死の境目となるはずだ。
★これだけはやれ!
航空会社を見極めてシートベルトは常時着用
(2015年)
1位 キャセイパシフィック航空(香港)
2位 エミレーツ航空(アラブ首長国連邦)
3位 エバー航空(台湾)
4位 エア・カナダ(カナダ)
5位 KLMオランダ航空(オランダ)
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11位 全日空(日本)
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44位 日本航空(日本)
56位 ガルーダ・インドネシア航空(インドネシア)
57位 マレーシア航空(マレーシア)
58位 エア・インディア(インド)
59位 チャイナエアライン(台湾)
60位 ライオン・エア(インドネシア)
※これはドイツの格付け機関JACDECが独自の基準で航空会社の安全度をランキング化したもの。こうした情報を利用前に確認しておくのもひとつの手だ
【坪田敦史氏】
’73年生まれ。航空ジャーナリスト。パイロットの資格を持ち、旅客機など飛行機全般に精通するライター。著書に『旅客機の基礎知識』(イカロス出版)など
― [死亡リスク]をゼロにする技術 ―
まずは安全な航空会社を選べるリテラシーを


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