更新日:2022年07月07日 18:49
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“かたち”のない「禅の心」を表現した美術作品が大集合

新発見の貴重な禅画も初公開

白隠慧鶴の代表作「達磨像」(大分・萬壽寺)の大きさは、縦2m近い

 さらに、白隠慧鶴筆「達磨像」(大分・萬壽寺)や如拙筆・国宝「瓢鯰図」(部分)(京都・退蔵院)など多くの貴重な禅画も展示される。  今回の展覧会準備中に新発見された、白隠の禅画も初公開。大分県臼杵市の臨済宗妙心寺派見星寺(けんしょうじ)で見つかった「慧可断臂図」だ。初祖達磨に慧可が入門を請うために、自らの左腕を切り落とそうとして覚悟の意を表す場面を描いている。  絵画以外にも古文書や茶湯道具、仏像など多様な展示がある。禅宗は他宗に比べると礼拝のための仏像は少ないが、菩薩のような姿の宝冠釈迦如来坐像(静岡・方広寺)や土堂に祀られる伽藍神、蘇賓陀尊者・羅怙羅尊者・賓頭盧尊者(京都・萬福寺)など禅宗寺院特有の尊像が展示されており、細かくうねる衣文など宋風の特徴を強く持つものが多い。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1100482

中国人仏師范道生作の十八羅漢坐像のうち「蘇賓陀尊者・羅怙羅尊者・賓頭盧尊者」(京都・萬福寺)。中央の羅怙羅は釈尊の子息で醜い容貌をしていたとも伝えられるが、胸を開いて「心には仏が宿っている」ということを表している

「一切は皆な空だ(一切皆空)」と、すべての存在には実体がないと言い切る禅の世界。「かたち」を展示する展覧会で、いかに本質の「心」を読み取ることができるだろうか。  5月1日までの前期、5月3~22日の後期で大きく作品が入れ替わる。ゴールデンウイークは、禅の心に触れるためゆっくりと京都へ行ってみてはいかがだろうか。 【臨済禅師1150年・白隠禅師250年遠諱記念「禅―心をかたちに―」京都展】 会期:2016年5月22日(日)まで ※展示替えあり 開館時間:午前9時30分~午後6時 金曜日は午後8時まで(入館は閉館の30分前まで)休館日:月曜日 会場:京都国立博物館 平成知新館(〒605-0931京都市東山区茶屋町527) TEL 075-525-2473 公式サイト:http://zen.exhn.jp/ 取材・文・撮影/鈴木 麦
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