熊本県・黒川温泉の復興を支える「首なし地蔵」のご利益がスゴい
すでに3分の2以上の旅館が営業を再開しているが、やはり余震の影響で客足の回復は遅れている。かつて、水もまけないほど賑わっていた小路は、いまだ閑散としているのだ。それでも余震や震災の影響を気にせず足を運んでくれるお客さんに救われているという。
「4月16日の夜中1時半ぐらいに本震がありましたよね。そのときは、すぐに宿泊客を避難所に誘導しました。当然、何のおもてなしもできてないし、泊まったところは避難所。余震の影響でロクに眠れませんし、翌朝の食事は炊き出しです。それでお客さんには『お代は頂けませんので』ってお伝えしたんです。6人で1泊の予約で約10万円。そうしたら、そのお客さんは『それなら、これは義捐金に使ってください』って言って10万円も置いていってくれたんです。もう、涙が出ましたよ。余震が続いている今でも、『こんなときだからこそ』って言って宿泊されていかれる方もいます。4月に宿泊された外国のお客さんは、写真付きで応援のメッセージが届きました。そういう話を聞くたびに、黒川はすぐに復活すると感じるわけです」
実は、支えになっているのは黒川を応援するお客だけではない。温泉街のシンボルとなっているお地蔵さんの力も大きい。
「震災後の自治会で、半年間、自治会費を免除することに決めました。どこの旅館も修繕になにかとお金がかかるので。黒川の自治会の予算は年間200万円です。半年間免除するので、予算が100万円減ることになる。その穴を埋めてくれたのがお地蔵さんでした。というのも、昨年6月20日から、お地蔵さんの前におみくじを設置したところ、10か月で101万円の売り上げになっていたんです。1枚100円のおみくじで(苦笑)。これとは別に、50万円近くのお賽銭もあった。震災に備えてお地蔵さんがコツコツ貯めてくれたお金だと思って、黒川のため使わせてもらおうと思っています」
この黒川では5月8日に例年通り、「地蔵まつり」が開催される予定。温泉街の復興支援と、ご利益にも期待して足を運んでみるのもアリだろう。 <取材・文・写真/池垣 完(本誌)>
1
2
【関連キーワードから記事を探す】
清野とおる×パリッコが語る、飲み歩いて気づいたこと「どこの街にも、キーマンはいる」
漫画家・清野とおる × 酒場ライター・パリッコ 書籍『赤羽以外の「色んな街」を歩いてみた』発売!
メダカすくいに救われた「水道橋」の夜/清野とおる×パリッコ
不動産屋はウソをつく。損しないために知っておきたい3つの“単語”
茨城県が魅力度ランキング最下位脱出!県民に直撃レポートしてみた
「女性から選ばれる男性」に共通している5つの習慣…“好かれる中年”は当たり前にやっていること
「最速で結婚できる40代男性」に共通している特徴…“相手への注文”はたくさんしたほうがいいワケ
「年下の女性から愛され続ける男性」に実は共通している5つの特徴
若い女性と結婚できるのは「年収1800万円超」だけ…中年男性には厳しすぎる“婚活の現実”
結婚相談所は知っている「一見、冴えなくても結婚できる男性」に共通する5つの特徴
ママ友に“利用され続けた”30代女性。会計時に店員が言った「スッキリする一言」で縁を切ることができたワケ
家庭も職場も父親が支配…絶望する20代男性に、取引先社長が放った“救いの言葉”
「いっしょに暮らそう」突然現れた見知らぬ老人の正体は…怒りと絶望に苛まれた40代男性の思い
「助けたのに感謝の一言がなく、ダメ出しまで…」イラッとした相手への対応の正解。ひろゆきが考える“ズルい”言いまわし
「体を弱らせる国の陰謀」エアコンをつけない主義の母が心変わりした“まさかの出来事”
能登半島地震で被災した動物と飼い主の今。愛猫を捜し続ける女性、ペットのために「車中泊」を選ぶ人も
「津波の心配はありません」なぜこの言いまわし?気象庁や“言葉の専門家”に聞いてみた
帰宅困難者がまたも溢れたワケ「ハード面の備えはできていたが、運用に課題があった」
災害・停電発生時の「スマホ再設定」のコツ、無駄な電力消費を抑えたい
地震直後に工場地帯で爆発!? 火災とは違う「フレアスタック」とは
人のいなくなった家に野生動物が…原発事故から11年でも故郷に帰れない「風下の村の人びと」
3.11から11年。「息をするのもつらかった」“名物女将”の喪失と再生
宮城県発YouTuber「ほーみーず」。被災当時、小学生だった彼らの支援策
災害発生時も頼りになる「Google Map」。オフラインでも使える
10年前にそろえた防災用品は大丈夫? 使用推奨期限や最新防災情報の確認を
この記者は、他にもこんな記事を書いています