神ってる? 狂ってる!? 日ハム・栗山采配が日本シリーズの勝敗を分ける!
そして究極の“神采配”は9回裏に起こった。
「DHの大谷がピッチャー」
球場アナウンスを聞いた筆者は、我が耳を疑った。というのも、このとき守護神のマーティンがケガでベンチ入りをしていなかった。抑え候補といわれていた谷元・宮西もすでに登板済み。「誰が9回に行くんだ?」と思っていた矢先に、まさかの大谷翔平。この「まさか」には理由がある。実はこの試合を落としたら、次の日の最終戦の先発に大谷の名前が挙がっていたからだ。4-7と3点差をつけたものの、もしこの日落としたら明日の先発はどうなるんだ!? 3点差もあるなら、他の投手でも抑えることはそう難しくないはずだ。そこをもし大谷の救援で落としたら、それこそ“神ってる”どころか“狂ってる”采配になりかねない。しかしそんな筆者の杞憂はすぐに吹き飛ぶ。結果はご存知の通り、大谷は165キロの日本最速を連発し、見事勝利。大谷の鬼神の投球が、栗山監督の采配を“神采配”に押し上げたのだった。
その晩のスポーツニュースで解説者たちは、
「この日に登板すれば、日本シリーズまで中5日になる。そういう計算もあるのでしょう」
「ファンは大喜び。監督の演出でしょう」
と大谷継投を語ったが、栗山監督ウォッチャーの筆者としてはそれは違う、と感じた。栗山監督は「勝利へ導く最良の策」として、クローザー大谷を選択したと推測する。どんなにトリッキーと笑われようが、どれだけリスクを伴おうが、選手を信じ切り大胆な策を振るう。これこそが栗山神采配の正体なのではないだろうか。
このようにCSという短期決戦、攻守ともに攻めダルマと化した栗山監督。日本シリーズでは、どのようなタクトを振るのか期待したい。この日本シリーズのキーは大谷の投打での起用法にあるといわれている。実際、ほとんどの人が第1戦での先発を「当然」と考えているだろう。しかし栗山監督は
「日本シリーズでは大谷を先発投手として起用しない」
という旨の発言をしている。多くの解説者は「投手大谷で2勝」としているだけに、この栗山監督の発言の真意とは。十中八九、初戦は大谷の先発が予想されるが、「シリーズは野手大谷一本」と報道陣に謎を落としているところをみると、栗山監督の“神采配”は、すでに始まっているのかもしれない。
【村橋ゴロー】
1972年生まれ。ほとんどの家事とまあまあの育児をこなす、自宅防衛系ライター・コラムニスト。千原ジュニアや田村淳など芸人連載の構成を手掛ける。近著に『俺たち妊活部「パパになりたい!」男たち101人の本音』(主婦の友社刊)
―[村橋ゴロー]―
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