東京の日ハムファンが「0%」だった時代 【祝・札幌移転初200万人動員! 】
東京ドームの外野スタンドは、くすんでいた。当時、自分が鬱屈した思いを抱えながら通っていたからそう映っただけかもしれないが、僕には灰色がかって見えた。外野スタンドで応援するファンは、当時の僕がそうだったように、「日ハムが好きだからここにいる」というより、「ここにしか居場所がない」という人たちに、僕には見えた。どんよりとした眼でグラウンドを眺め、勝ったら喜ぶが、負けても「こんなもんだろ」と悔しがることもない。ファンが諦めているんだから、チームが優勝するはずがない。
そして、日ハムファンにはひとり客が多かったのも特徴的だった。周りで物好きが見つからなかったのだろう。SNSもなかったし、当然だ。みな「俺が応援しなければ、誰がする」とばかりに声をからし、メガホンを振る。ここは日ハムファンしかいないのだからみんな仲間になればいいじゃないか、と思うだろうが「いや、俺以外は全員オタク」とばかりに、みな関わろうとしない。実際、年間40~50試合は東京ドームに通っていた当時、筆者も「こんなオタクにはなりたくない」と周囲を見ていたものだ。いや、お前が一番のハムオタクだよ! という自覚は皆無だった。
日ハムはとにかく弱く、人気がなかった。ある漫画誌のアンケートで12球団人気ランキングというものがあり、「小数点以下はは切り捨てます」という但し書きがあったものの、何とこうだった。
【日本ハム:0%】
俺が球場で見ていたあの人たちは、きっと幻だったのだ。うん、そうに違いない。
当時エロ本の仕事をメインにやっていた僕はその日、『街でナンパしたギャルたちがパンチラ披露!』(当然、全員仕込み)的な、それはもう尊い原稿をやっていた。パッと見ると、見開き2ページに9人のギャルが御開帳している。9人……スタメンじゃん! こいつらの名前、全員ハムの選手にしたろっ! なぜかそう思いついた筆者。
当時のスタメンは確か、1番・金子誠、2番・小笠原道大、3番・片岡篤史、4番・オバンドーと続く。これらを女のコの名前にして、パンチラギャルたちの横に書いていくのだ。
金子真子クン(18)短大1年
小笠原道子クン(21)大学3年
片岡篤子クン(21)OL
何て意味がなく、そして虚しい遊びだろう。いま考えると震えてくる。
そして僕の手が止まる。次はオバンドーか。彼は黒人選手なので、ガングロギャルのコにしようと決めていた。しかし「オバンドー」である。これをどう、日本名に変換するか。とても悩んだ。なぜそんな無駄な労力を使うのだ、という真っ当な疑問が湧きだす余地もないほど、悩んだ。オバンドー、オバンドー、オバンドー……、思いついた!!
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『俺たち妊活部―「パパになりたい!」男たち101人の本音』 借金まみれのどん底ライターが妻と挑んだ、涙と笑いの妊活記録 ![]() |
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