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8人が命を落とした日本で最初の大規模な爆破テロ「三菱重工爆破事件」【大量殺人事件の系譜】

 “狼”は犯行の約1ヵ月後に、次のような犯行声明を出している。 <三菱をボスとする日帝の侵略企業・植民者に警告する。海外での活動を全て停止せよ。海外資産を整理し、『発展途上国』に於ける資産は全て放棄せよ。この警告に従うことが、これ以上に戦死者を増やさぬ唯一の途である>  先の戦争を侵略戦争と位置づけていた“狼”は、防衛産業に邁進し積極的な海外進出をしていた三菱重工の「帝国主義性」を指摘、「経済的にアジア侵略を推し進めている」との思想から、爆弾テロに至ったのだ。  前述したように犯行グループは、戦争における天皇の責任にも言及している。実はこの犯行の2週間前、8月14日に決行予定で、別の作戦を企図していたことが、後に判明した。それは、「虹作戦」と呼ばれる昭和天皇の暗殺作戦だった。これは結局、未遂に終わっている。  このテロ事件の2日前、8月28日には、神奈川県平塚市で「ピアノ騒音殺人事件」が発生した。原子力船「むつ」が放射能漏れ事故を起こしたのは9月1日だった。庶民の生活の中にピアノが増えることによる弊害、新しいエネルギーがもたらす負の部分などが明らかになった。  そうしたこととともに、企業を中心とする世の中にゆがみが生じていたことは確かであろう。ただ、“狼”の社会を震撼させた行為は、世論の怒りを買った。過ちだったことは他言を待たない――。 <取材・文/青柳雄介>
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