ブレットが目撃したホーガンとフレアーが“共存”するリング――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第278回(1998年編)
ブレットは、“ヒットマン”ブレット・ハートのままWWEからWCWにやって来た。主役クラスの登場人物がひとり増えたことで“ナイトロ”のレイアウトにも微妙なひずみが生じた。ハルク・ホーガンがいて、ランディ・サベージがいて、ケビン・ナッシュ&スコット・ホールがいる。フレアーがいて、スティングがいて、レックス・ルーガーがいる。スーパースターのなかのスーパースターたちがきゅうくつそうに月曜(と新番組“サンダー”が1998年1月から毎週木曜夜に放映開始)の2時間ワクの出番を待っていた。
ブレットは、テレビのプロレス番組とは父親と息子が共有する“男の子の時間”であると考えていた。ハート家では父スチューから息子たちへ、父ブレットから息子たちへそのトラディションが受け継がれてきた。でも、いまのR指定コンテンツの“ロウ”はもう子どもたちにはみせられない。だから、ニューヨークでプロレスをつづけていくのがイヤになった。
ヒットマン・シェード(サングラス)の向こう側の景色がちょっと変わったかなと思っていたら、そこは南部アトランタのリングだった。“13タイムス・ワールド・チャンピオン”のフレアー様が“5タイムス・ワールド・チャンピオン”のブレットに救いを求めてきた。1949年2月生まれのフレアーはもうすぐ49歳(当時)。じつは、ブレットも自分ではそうとは気づかないうちに40代ゾーンに足を踏み入れていた。
ハートビートが聴こえてきそうなサムバディーとは、こっちまでハートビートがビンビンきちゃうようなサムバディー、という意味だった。(つづく)
※この連載は月~金で毎日更新されます
文/斎藤文彦 イラスト/おはつ
※斎藤文彦さんへの質問メールは、こちら(https://nikkan-spa.jp/inquiry)に! 件名に「フミ斎藤のプロレス講座」と書いたうえで、お送りください。

斎藤文彦
この連載の前回記事
【関連キーワードから記事を探す】
ビンス・マクマホン 世界征服と開拓のパラドックス――フミ斎藤のプロレス講座別冊レジェンド100<第100話(最終話)>
ランディ・オートン 現在進行形のレジェンド――フミ斎藤のプロレス講座別冊レジェンド100<第99話>
ジェフ・ジャレット “サザン・スタイル”最後の継承者――フミ斎藤のプロレス講座別冊レジェンド100<第96話>
クリス・ジェリコ ロックンロール・レスラー――フミ斎藤のプロレス講座別冊レジェンド100<第95話>
カート・アングル あっというまに“伝説の男”――フミ斎藤のプロレス講座別冊レジェンド100<第94話>
ブレットが目撃したホーガンとフレアーが“共存”するリング――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第278回(1998年編)
ビンスとフレアーのビジネスライクな友情――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第131回
サベージがフレアー下しWWE世界王者!――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第124回
ホーガンVSフレアー実現――フミ斎藤のプロレス講座別冊 WWEヒストリー第116回
WCW世界王者フレアーがWWE電撃移籍――フミ斎藤のプロレス講座別冊 WWEヒストリー第112回
ブレットが目撃したホーガンとフレアーが“共存”するリング――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第278回(1998年編)
“モントリオール事件”の真相=ブレットの主張――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第272回(1997年編)
“モントリオール事件”の真相=ビンスとブレットの会談――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第271回(1997年編)
ブレットがWWE世界王座奪回@“サマースラム”――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第263回(1997年編)
“モントリオール事件”へのプロローグ――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第262回(1997年編)
ブレットが目撃したホーガンとフレアーが“共存”するリング――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第278回(1998年編)
ホーガンがまさかのヒール転向 nWo出現――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第230回(1996年編)
ビンス無罪“ステロイド裁判”エピソード16=ホーガンの自由意思――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第169回
ビンス無罪“ステロイド裁判”エピソード06=ホーガンとザホリアン医師――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第159回
ビンス無罪“ステロイド裁判”エピソード05=ホーガンとビンスは友人?――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第158回
この記者は、他にもこんな記事を書いています