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外国人観光客がデリヘル嬢に大人気の理由――鈴木涼美の「おじさんメモリアル」

「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは自らを饒舌に語るのか』(青土社)、『身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論』(幻冬舎)などの著作で「性を商品化する」女性たちの内面を活写し注目されている文筆家の鈴木涼美が、「おじさん」をテーマに日刊SPA!で連載する「おじさんメモリアル」第24回!


【第24回 マセラティの紳士は、SMホテルの名レフェリー】

 最近、専門の店や紹介ブローカーによる仕事ではなく、通常の風俗店でも外国人のお客さんは急増中らしい。10年前でも、歌舞伎町のキャバクラに韓国人や中国人のお客さんが来ることはもちろん多かったが、日本に住んでいる人や日本に住んでいる人による接待がほとんどだった。今やビジネスや観光で短期間の来日中にちょっとそこまでヌキに出かける人がたくさんいるらしい。セックスのグローバル化おそるべし。

 で、ここは島国ニッポン、欧米に加えて中国や韓国はもちろん、ベトナムや南米系などインターナショナルなお客様の接客に抵抗がある女性も多いかと思いきや、意外にも外国人客は取り合いになるほど大人気なのだという。これは結構驚く。リピーターがものをいう業界にあって、リピート率が限りなくゼロに近い短期来日客にみんながこぞってつきたがるなんて。英語や中国語などある程度メジャーな言語が通じるとも限らない。ベトナム語で「うがいしてください」ってなんていうんでしょうね。

 ただ、理由を聞くと単純明快である。グローバルに仕事をしている、あるいはグローバルに旅行している層には、欧米のチップ文化が慣習として根付いている。海外に行くとケチなメガネ黄色人種として嫌われる日本紳士とは違い、正規の料金のほかにサービスをしてくれた人にサービス料をチップとして渡す外国紳士は当然、究極のサービス嬢には大人気である。

 チップや寄付の習慣がない日本の文化は、物価は高くても単純だし計算もいらないし、私は大好きなので一応日本紳士を擁護すると、別に風俗嬢にチップを払わないのは礼儀知らずでもなんでもない。日本では正規の料金に諸々が込み込みな訳であって、レストランやタクシーもそうだし、風俗店だって例外ではない。もう、本当によほど想定の範囲外のサービスを受け、どうしても払いたい!というときにだけチップやプレゼントを渡せばいい。もちろん、デリヘルで本番した場合などはそれに準ずる。

 で、つまり外国人客が当然のごとく渡してくれる5000円や1万円のチップは、込み込みの正規料金から取り分をもらっている風俗嬢からすれば、思わぬ嬉しい臨時収入になるわけで、人気があるのも頷ける。逆に言えば本番強要するわけでもなく、アナル舐めてとかいうわけでもなく、通常のサービスを受けて5000円でもチップを渡せば心象はものすごくよくなるので、不毛にも風俗嬢から好意を向けられたいと願う紳士にはオススメする。

⇒この続きは連載をまとめた単行本「おじさんメモリアル」で

【鈴木涼美(すずき・すずみ)】
83年、東京都生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒。09年、東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。専攻は社会学。「身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論」(幻冬舎)発売中。現在は日経新聞を退社し、執筆業を中心に活動。幻冬舎plusにて「愛と子宮が混乱中 夜のオネエサンの母娘論」を連載中。LINEブログはhttp://lineblog.me/suzukisuzumi/

(撮影/福本邦洋 イラスト/ただりえこ)

おじさんメモリアル

著者が出会った哀しき男たちの欲望とニッポンの20年
日刊SPA!の連載を単行本化


「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか

慶応大学環境情報学部卒。東京大学大学院学際情報学府修了。本書がデビュー作。

身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論

「お乳は生きるための筋肉」と語る夜のおねえさんの超恋愛論





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