篠山紀信に女装グラビアを撮ってもらった小説家の肖像―仙田学の『女のコより僕のほうが可愛いもんっ!!』
8月の暑い午後に、銀座の喫茶ルノアールの会議室で、プロのメイクさんに顔を作っていただいた。テレビCMなどの業界の裏話をちらほらお聞きした。女性が頬骨を隠すために顔の輪郭に沿ってはらりと流す髪型にも名前があるらしいと聞いたが、その名前は忘れてしまった。
銀座のホステス御用達のメイクルームに移動して、出勤前のホステスに混ざって着付けを施してもらう。綿密な打ち合わせを経て、衣装はピンク色の浴衣に決まっていた。
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夕暮れ時の有栖川公園で、グラビアページで絡むことになっていた、小説家の青沼静哉氏と初対面の挨拶をした。作業衣姿で釣り道具を背負った青沼氏は、第23回早稲田文学新人賞受賞者だ。1965年生まれで北海道出身。釣り師でもある。このグラビア企画は、歴代の新人賞受賞者たちの、現在の活動などを紹介するという、その号の特集企画の一環だった。
やがて篠山紀信氏が現れた。(つづく)
【仙田学】
京都府生まれ。都内在住。2002年、「早稲田文学新人賞」を受賞して作家デビュー。著書に『盗まれた遺書』(河出書房新社)、『ツルツルちゃん』(NMG文庫、オークラ出版)、出演映画に『鬼畜大宴会』(1997年)がある
<文/仙田学>
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