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オークションで自衛隊の武器が売られている謎

 ただ、自衛隊としてはこのような自衛隊の廃物が出品された経緯を知り、二度とこういう問題が起こらないように対処したいわけです。自衛隊の基地内、現役自衛隊員がかかわっているなら、自衛隊の警務隊は事情聴取することができますが、それ以外だと無理です。  中古の装備がどこから流出することは国防上の大きな問題です。情報の横流しにしてもそうです。教範などの軽微なものを見逃せばより重要な情報の横流しの犯罪になりかねない。他国の軍は調査権限を持つ諜報組織をかかえています。軍も安全保障に関しての危険情報を捜査し、軍の機密漏えい防止対策ができますが、自衛隊にはそういった機能はほとんどありません。あるにはあるのですが、予算がなく活動してないも同然の状態なのです。  自衛隊には情報保全隊とよばれる陸海空統合され防衛大臣直轄の情報を扱う部署があるようです。しかしオークションで出てきてはまずいものが頻繁にでてくるところから、機密漏えい対策ができているとは思えません。  オークションの教範流出や横流し品などは氷山の一角です。オークションはサイトにお願いして掲載をやめて欲しいとお願いすることができますが、いつも掲載を取り下げてくれるわけではありません。オークションから排除されなかったものを一般人の手に置いておきたくない場合、競り合って買い取ってしまうという方法も考えられますが、そんな予算は用意されていません。指をくわえてみているしかないのです。  情報収集はお金がかかるものです。足で情報を集めるとしてもその人員、交通費、通信費などのコストはかかります。湾岸戦争のときにヘリから大量にドルのはいった袋をもった兵士が下りてきて、多くの情報を買いあさったという噂があります。お金を使って情報を集める外国と、お金を使わず情報を守ろうとする日本国。前の大戦で日本国は情報戦に敗れたといわれていますが、70年たっても今もその認識は変わってないようです。<文/小笠原理恵>
おがさわら・りえ◎国防ジャーナリスト、自衛官守る会代表。著書に『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(扶桑社新書)。『月刊Hanada』『正論』『WiLL』『夕刊フジ』等にも寄稿する。雅号・静苑。@riekabot


自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う

日本の安全保障を担う自衛隊員が、理不尽な環境で日々の激務に耐え忍んでいる……

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