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ヒアリでの経済被害は6000億円!? 人的被害よりも恐ろしい、インフラ・農業に及ぶ脅威

強烈な毒を持つヒアリが国内で相次いで目撃され、日本中がパニックに陥っている。攻撃性が強く、海外では刺されたことによる死者まで報告されている。そんな、場合によっては死に至る危険な「殺人虫」の被害は、なにも“人”だけではない。今回は、ヒアリがもたらす経済的損失を調べてみた。

経済的損失が6000億円!インフラ、農業に及ぶ脅威


農家

農家への影響は、収穫量の減少だけでなく、ヒアリ対策に莫大なコストがかかることも考えられる

 殺人害虫による被害は、何も人が刺されることだけではない。群馬県立ぐんま昆虫の森の金杉隆雄氏は「ヒアリは人体への被害よりも、むしろ経済的損失のほうがよっぽど恐ろしいです。アメリカでは、すでに経済被害が6000億円を超えたという報告もあります」と訴える。その被害の多くを占めるのが、農作物への被害だ。昆虫分類学者の岸本年郎氏が続ける。

「繁殖したヒアリが周囲の農作物を食い荒らしてしまうんです。また、作物を枯らす原因となるアブラムシが出す甘露をヒアリが食料としているため、アブラムシを守るために天敵のテントウムシを駆除してしまうんです。さらにひとたび怒らせれば、集団になって牛や鶏などの家畜を刺し殺すこともあります。これが日本で起こったら目も当てられません」

 さらに、建物や設備などのインフラ設備に対して、ヒアリが攻撃を行うこともあるという。

「海外では電圧器や信号機の電源に入り込んでショートさせたり、火事を引き起こしたりなどの被害も確認されています。建物などの下に巣を作り、設備の補修が困難になるほか、そこから屋内に侵入することもあります。そのほうがヒアリに刺されることより何倍も損失が大きいんです。また、生態系に与える影響も甚大です」

 たかがアリ1匹と舐めていると、“虫の息”にされてしまうかも!?

【金杉隆雄氏】
昆虫をテーマにした体験型教育施設「県立ぐんま昆虫の森」昆虫専門員。専門は蚊だが、それ以外のハチ、クモにも造詣が深い

【岸本年郎氏】
ふじのくに地球環境史ミュージアム准教授。昆虫分類学が専門で、ヒアリの研究も行っている。台湾でヒアリに刺された経験を持つ

取材・文/建部 博 山野佑介 写真提供/アース製薬株式会社 岸本年郎 群馬県立ぐんま昆虫の森 時事通信社 西海太介 (一財)日本環境衛生センター環境生物部
― [最凶殺人虫]図鑑 ―





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