元プロ野球選手・里崎智也が明かす“誤審の真実”「審判のレベルが下がったというのは錯覚です」
――チームや選手によって判定にバラつきがある、贔屓が存在するという声も根強くあります。
里崎:「巨人は審判によくしてもらっている」という声は、僕がプロになるずっと前からありましたが、これも錯覚だと思います。かつてほどでなくても巨人は目立つチーム。ただでさえアンチが多い状況で、際どい判定があると騒ぎになりがちですが、それは巨人というチームに前から抱いていた悪印象と結びついて、「巨人贔屓」という認識が生まれてしまっているだけ。16年間、プロ野球の世界にいましたが、特定の球団に対する贔屓は存在しないと僕は思っています。
――当事者である選手たちは、そこまで判定に不満を持っていないということでしょうか?
里崎:もちろん自分がプレイしている最中に納得できない判定があれば、エキサイトしてしまうことがあります。しかし、間違うのは審判だけではないですからね。選手も自分の認識と異なるジャッチをされれば、当然、抗議しますが、その判断自体が間違っていることも少なくないはず。
選手も全力でプレイしているなかで、すべて正しくセルフジャッジができるわけではありません。デッドボールが当たったかどうかで揉めることもよくありますが、あれだっていきなり自分の体に向かって速球が向かってきて、興奮してしまった状態なら、実際には当たっていなくても本人は本気で当たっていると思って抗議していることもきっとあります。
――それでも納得できない判定で試合が決まってしまうと釈然としません……。
里崎:ファンの方が判定に一喜一憂してしまう気持ちわかりますが、少なくとも選手なら必要以上の抗議をして審判の心象を悪くするのはバカバカしいことです。それなら、悔しい気持ちは抑えて、審判のクセを理解して次のプレイに生かすべき。繰り返しになりますが、審判技術は昔よりも上がっています。なので、ひとつのプレイを「誤審だ」といつまでも引きずって集中力を欠くようなことをしないほうが結局、選手にとっても得なはずなんです。
もちろん、だからと言って誤審が仕方ない訳ではないですよ。審判の皆さんにも日々反省と成長をしてもらって、「世界一のジャッジを下せるのは日本人だ!」と言われるようになってもらいたい。ひとつの判定が多くの人の人生を幸せにすることもあれば、不幸にすることもあるわけですからね。
[里崎智也]
鳴門工(現鳴門渦潮高)、帝京大学を経て、98年のドラフト会議で、千葉ロッテマリーンズを逆指名して、入団。05年は橋本将との併用ながらも、日本一に貢献。06年にはWBC日本代表として世界一にも輝く。14年限りで現役引退、現在はプロ野球解説者、評論家を務める。近著『捕手異論 一流と二流をわける、プロの野球『眼』』が好評発売中
<取材・文/日刊SPA!編集部 撮影/岡戸雅樹>
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