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初詣は家族ばらばら…異なる神社・お寺でお参りをする!? 青森県津軽地方に残る世にも珍しい風習

・神宮寺  家族や友人でお参りに出掛けるとき、それぞれで一代様が異なるとなれば、少し不便な気も……。そのような人にありがたい寺がある。平川市にある「神宮寺」。 津軽地方の文化 神宮寺は、猿賀神社に隣接している。大晦日になれば、通りには露店が並ぶという。池田住職がこう言う。 「神宮寺には、8体の守護本尊が奉られているので、いろんなところに行かなくても済む。家族揃ってお参りに来る人が多い。いまは車や交通手段がありますが、昔は歩きだったので大変だったことでしょう」 津軽地方の文化 また、守護本尊の前には、鬼が奉られていた。なにか意味はあるのだろうか。 「元三大師様と呼ばれ、鬼のような姿をしておりますが、人間なのです。疫病を追い払ってくれます」 津軽地方の文化 また、寺の入り口で目についたのが大きなわらじだ。池田住職に聞くと、「仁王様がわらじを履いて、この周辺を守護してまわってもらえるように」との意味があるそうだ。神宮寺には、仁王金剛力士像もある。  家族や友人と津軽を訪れた際には、短期であれば、神宮寺でまとめて祈願することもできる。時間に余裕があれば、國上寺をはじめ、各地に点在する一代様をめぐる旅もいいだろう。

家々で信仰されている“おしら様(オシラサマ)”

 最後に、津軽(の一部)で信仰されているおしら様(オシラサマ)を紹介しておきたい。くわの木で作られ、オセンダクと呼ばれる衣装をまとった夫婦の人形。おしら様は東北地方においては各地で見られ、民俗学者・柳田國男の『遠野物語』にもその逸話が登場する。
津軽地方の文化

神宮寺に奉られていたおしら様

 今回訪れた國上寺と神宮寺の両方でおしら様が本堂の横に奉られている姿が確認された。通常は家神として、各家庭で奉られているらしい。 「雌雄の神様で、五穀豊穣などの意味があります」(神宮寺・池田住職)  とはいえ、各地で様々な伝説が残っており、禁忌などもあるという。地元の津軽人の話によると、おしら様に対して感謝の気持ちと、なにか罰があたらないか畏怖の念も抱いているそうだ。「他の家庭には見られてはいけない」という話もあるらしく、見えないように隠されていることも多いのだとか(おしら様を見てしまった記者……大丈夫なのだろうか)。 「このあたりでは、おしら様を信仰している家庭も多い。久渡寺(弘前市)が本山とされています。昔は、そういう云われもありましたが、いまでは家族や夫婦円満の願いとなっているので大丈夫ですよ」(國上寺・小野長老)  いまもなお津軽地方に残る独自の民間信仰や風習。一説によると、青森は本州の北端にあるため、幕府や都、時代の影響を受けにくかったとも言われている。津軽には、まだまだ奥深い文化が隠されていそうだ。 <取材・撮影・文/藤井敦年>
明治大学商学部卒業後、金融機関を経て、渋谷系ファッション雑誌『men’s egg』編集部員に。その後はフリーランスとして様々な雑誌や書籍・ムック・Webメディアで経験を積み、現在は紙・Webを問わない“二刀流”の編集記者。若者カルチャーから社会問題、芸能人などのエンタメ系まで幅広く取材する。X(旧Twitter):@FujiiAtsutoshi
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【川倉賽の河原地蔵尊】
住所:青森県五所川原市金木町川倉七夕野426-1
電話:0173-53-3282

【國上寺】
住所:青森県平川市碇ヶ関古懸門前1-1
電話:0172-45-2446

【神宮寺】
住所:青森県平川市猿賀石林166-2
電話:0172-57-3182
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