更新日:2022年12月10日 19:00
ライフ

43歳で奨学金650万円を返し続ける契約社員「親の介護と持病の悪化で三重苦に」

―[隠れ借金白書]―
借金を巡る状況に変化が起きている。「カードローン」の人気が爆発、ネットで手続きが完結する借り方も浸透し、こっそり摘まむ人は後を絶たないのだ。しかし、いくらラクに借りられても、ハマれば待っているのは泥沼。果たして、隠れ借金リーマンはどのような生活を送っているのか? ここでは、のっぴきならない理由で借金を背負った男のシリアスな日常を紹介する。 奨学金

持病で収入が激減。さらに奨学金と親の介護の三重苦

…近藤英二さん(仮名・43歳・経理事務・残債630万円)  契約社員として働く近藤さんの借金のきっかけは、大学・大学院時代に借りた多額の奨学金だった。 「公認会計士になる夢を捨てきれず、社会人を数年経験してから大学院に入り直しました。しかし貯金はすぐに底を突いてしまい、生活費や学費をすべて利子つきの奨学金に頼ってしまった。そして試験に惨敗し、残ったのは総額650万円の借金だけでした」  今も両親と暮らす近藤さんは、月3万円を家に入れ、毎月4万円弱を奨学金の返済に充てている。 「20年で完済する計画でしたが、数年前に心臓病になってしまい、頻繁に体調を崩すようになったんです。会社にも行けなくなり、月収は10万円以下まで落ち込んだ。でも奨学金の返済が滞ったり生活が苦しくても、70歳を超えた高齢の親には頼れないし、ましてや母親は脳梗塞で倒れて要介護状態。年金でやり繰りしている両親に、口が裂けても『カネを貸してくれ』なんて言えません。だから苦しいときは消費者金融で借りて、家にもカネを入れ続けていた。半年で100万円ほど借りましたね」 隠れ借金白書 奨学金の完済計画も大幅に狂い、消費者金融と合わせると月の支払いはおよそ8万円強。収入は不安定で、医療費や交際費、保険料や年金を支払うとほぼ残らない。 「とにかく高齢で要介護状態の親に心配をかけたくないんです。だから悟られないためには、家にカネを入れ続けるしかない。でも、今後、自分の体調や母親の容態次第で、さらに借りる可能性もある。正直、どこまで借金を家族に隠し通せるか自信はありません」 <近藤さんの借入データ> ・奨学金 残債550万円(利率1.01%) ・消費者金融 残債80万円 ― 隠れ借金白書 ―
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