更新日:2022年12月17日 23:16
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花粉症で職場に居場所をなくした男 あまりの辛さに上司にキレてしまい…

 転勤、転職、昇進、異動、妻の仕事復帰、子供の進学……。春先は仕事環境や生活環境が大きく変化する時期。環境変化に対応すべく努力をするもののストレスをため込んでしまい、その反動で連休明けころから無気力状態に陥ってしまうのが5月病だ。うつ病予備軍ともいわれる5月病だが、最近その症状は多様化&前倒しになっていると産業医の大室正志氏は分析する。  そこで、うつのトリガーともいうべき4月のさまざまな不安要素について、実際の症例を分析しながらその対策を考えていく。 その不調[4月病]

重度の花粉症に悩まされ休職に追い込まれた男

 くしゃみ、鼻水、鼻づまりと多くの人々を悩ませている花粉だが、花粉症が原因でメンタルクリニックに通うほどのうつ状態に陥る人もいる。文具メーカーに勤める峰涼介さん(仮名・41歳)は、2年前に重度の花粉症を発症した。 「仕事中も滝のような鼻水が止まらず、常に熱っぽさとだるさにつきまとわれて……。それでも営業なので終始マスクをつけているわけにもいかず、仕事に身が入らない。家に帰っても鼻づまりでろくに眠れず、疲れも取れないという最悪の状態が続きました」  いくら薬を飲んでも症状は改善せず、ケアレスミスを連発。 「上司から『自己管理を徹底しろ!』と毎日小言を言われるうちに、職場の全員から『使えないヤツ』と思われている気がして……。自己嫌悪とストレスでうつ状態になり、会社を休みがちになりました」  うつ・自律神経専門整体院健療院グループの鈴木直人氏は以下のように指摘。 「人間には、花粉症のようなアレルギー(免疫過剰)を抑えるコルチゾールという物質が備わっていますが、コルチゾールは、ストレスに抵抗したり、血糖値を上げたりさまざまな役割を担っています。ただ、生成量が決まっているので、ストレスが多いとそれに抵抗すべくコルチゾールをたくさん使うため、貯蔵量が少なくなります。結果、免疫が過剰に働いてしまい、花粉症が悪化するのです」  花粉症が悪化した峰さんは、ある日ついに会社で爆発。 「外回りから帰ってきた上司が僕の目の前でコートの埃をバッサバサと払ったんです。その瞬間つい、『そういうのは外でやれよ!』と大声を上げてしまって……。上司には『仕事もろくにできないヤツが何言ってんだ』とブチ切れられ、余計に会社に行きづらくなりました。結局しばらくの間休職してメンタルクリニックに通い、半年後に復職。今年は周囲が気を使ってくれているので何とか休まず仕事できています」 【鈴木直人】 うつ・自律神経専門整体院。日本自律神経協会代表。うつは「心」や「性格」が原因ではないという信条で25年以上3万人以上の患者を診てきた。著書に『うつは「体」から治せる』(BABジャパン) ― その不調[4月病]! ―
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