AIに仕事を奪われて大量失業か。意外な救済策が、本気で検討されている
“車いすの天才物理学者”として知られるスティーヴン・ホーキング博士が3月14日に亡くなった。博士は晩年、「人類に残された時間はあと100年」と、多くの“警告”を繰り返し発していた。そのメッセージの意味とは?
ホーキング博士は「AIの進歩・普及とともに、多くの人々が職を失うだろう」と予測、’16年に英『ガーディアン』紙のコラムにはこう記していた。
「工場の自動化はすでに従来の製造業をつぶしている。そしてAIにより中間層も職を奪われ、介護職、クリエーター、管理職といった仕事しか残らない。このことは、すでに世界中で拡大している格差をさらに広げるだろう」
野村総研とオックスフォード大学が’15年にまとめた共同研究によると、「将来、日本の労働人口の49%がAIやロボット等で代替可能になる」という。
こうした問題に危機感を持った博士は「世界が一丸となり、富裕層に集中している富を共有する必要がある」と提言。これに呼応するかのように各国で導入が論議されているのが、BI(ベーシックインカム)だ。これは政府が全国民に一定額を無条件で支給するというもの。
BIをテーマにした短編映画『はじまりの日~ベーシックインカム元年』を制作した映画監督の増山麗奈氏は「ここ数年のBI導入をめぐる論議では、必ずといってもいいほどAI技術の影響の話がからんでいます」と話す。
「スイスでは、否決に終わったもののBI導入を問う国民投票が行われました。また米国ハワイ州は’17年6月に満場一致で『BI推進法』を可決。BI推進の中心となったクリス・リー州議は『AIなどによる自動化・機械化の利益を、皆でシェアする変革が必要』と強調しています。同じく’17年6月にはイーロン・マスク氏が、ドバイでの国際会議で『AI普及による大量失業の唯一の解決策はBI』と訴えました。その財源について同氏は『AIの普及で生産性が高くなって物価が下がるため、BIを政府支出で対応することは可能』と主張しています」
博士の予測通り、AIの普及が人々の生活を大きく変えることは間違いないようだ。
― ホーキング博士の遺言 人類はあと100年で滅ぶ ―
日本の労働人口の半分がAIに職を奪われる!?
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