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奨学金350万円を自己破産したら…43歳男性に襲いかかった試練の数々

 給料は上がらない。それでも物価は上がっていく。ギリギリの生活を送りながら、家計の破産も「明日は我が身」と感じる人も少なくないはず。「自己破産件数」は13年連続で減少してきたが、ここにきて微増しているという。  借金に手を染めるきっかけは、生活苦、給料の減少、教育資金、奨学金の返済、浪費・遊興費、投資の失敗など多様。その先には、自己破産、もしくは破産したくてもできず真綿で首を絞められるようなジワクジワと続く生き地獄、逆に自己破産ですべてを失ったがリセットして新しい人生を歩みだす人……さまざまな人間模様がある。
破産したらこうなった

「自己破産前は督促状が届いても払えるお金がなかった」と上村さん。現在はローンが組めず、車の購入を断念して職場までは自転車通勤

自己破産すると採用されない業種があった

 近年、社会問題化している奨学金利用者や連帯保証人の自己破産。その数は、’12~’16年度の5年間だけでも1万5000人に及ぶ。  現在、機械部品工場で契約社員として働く上村太一さん(仮名・43歳)が大学時代に借りた日本学生支援機構と学内の貸与奨学金の総額は約600万円。だが、6年前に約350万円の負債を残した状態で自己破産をしたという。 「大学を卒業した’98年は就職氷河期真っ只中。内定が取れずに派遣社員をするハメになり、奨学金返済のために掛け持ちでバイトをしていました。しかし、無理がたたって体を壊し、以前のように働けなくなってアパートの家賃を滞納するほど追い詰められました。私は早くに両親を亡くして周りに頼れる人もなく、自己破産を選ぶほかなかったんです」 破産したらこうなった 自己破産すると連帯保証人だった叔父に請求がいき、土下座して謝る上村さんを「恩を仇で返すつもりか!」と罵倒。その場で一族からの絶縁を宣告され、祖父の葬儀も知らされなかったとか。
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20代のころから続けていたバイトも辞めるハメに…
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