TWICEって知ってます? メッチャ人気があるんですよ?
――それから「よっぱらっぴ☆」で歌われていることは宅飲み、それも1人飲みのこと。この、1人で自宅で泥酔しているヤケクソ感も「ノーフューチャーだなあ」という印象を受けました。
上坂:あっ、これはそういう歌詞にしたいってオーダーを出したんです。最初にいただいた歌詞は飲み会ソングだったんですけど「私、飲み会に行かないよな」と思って。
――アニメが完成したり、ライブが終わったりしたら打ち上げってありますよね?
上坂:でもそれって通過儀礼というか、半分お仕事でもあるじゃないですか。
――ビジネスライクな飲み会ではありますね。
上坂:……まあ、そういう席でもしたたかに酔っ払って潰れますけども。
――ビジネスシーンでもバリバリ「よっぱらっぴ☆」(笑)。
上坂:でも友だち同士で集まってウェイ!みたいな飲み会や合コン的な飲み会には全然縁がないので。そういうお話をさせていただいたら、この孤独で元気な歌詞ができあがってました(笑)。だから私の普段の生活って感じですごく歌いやすかったんですよ。1人で飲んで、盛り上がって、寝る!
――盛り上がってなにするの? と問われれば……。
上坂:歌詞のとおり、横山光輝先生の『三国志』を何度も何度も読み返す! そして寝る!
――ほかに歌詞にオーダーを出した曲ってあります?
上坂:今回は「せっかくだから自分のアイデアを言ってみようかな」と思ったことが割とありましたし、「Hello my kitty」なんかもお願いして書いてもらった歌詞ですね。
――「ネコかわいい」みたいなことしか歌ってないですよね?
上坂:最近私がネコを飼ったことと、あとヴィレッジヴァンガード名古屋店で『もしもうちの猫がかわいい女の子になったら』という写真集を買いまして……。
――なんですか? その写真集。
上坂:まずネコの写真の載っているページがあって、次のページにはそのネコと同じポーズをしたグラビアアイドルさんが写っているっていうものなんですけど、その写真集をもとに「『飼っているネコがある日突然かわいい女の子になりました』っていう歌にしてください」とお願いしたら、この曲になりました。
――その「Hello my kitty」が象徴的なんですけど、今回のアルバムはユーロビートやシティポップをリバイバルしているだけではない。夏フェスで若手バンドがプレイしそうなダンスロックである「Hello my kitty」や、EDM以降といった印象のダンスミュージック「POP TEAM EPIC」「祈りの星空」のようなイマドキ感のある楽曲も収録されています。
上坂:確かにどれも私にしては珍しい曲ですね。
――こちらも「よっぱらっぴ☆」同様、歌いやすかった?
上坂:『アイマス』(『アイドルマスター シンデレラガールズ』)や『バンドリ』(『BanG Dream!』)といった音楽をテーマにしたアニメやゲームに参加させていただいて、キャラクターソングをたくさん歌ったことで最近のアニソン事情がわかったというか、私の現代性が養われた感じはすごくしています(笑)。
――ではレコーディングはスムーズに?
上坂:できました! あと、今『MUSIC STATION』のナレーションを隔週でやらせていただいているんですけど、担当している以上、番組を観るじゃないですか。それで最新のJ-POP事情を知ることができて、音楽的なボキャブラリーが増えたからスムーズに歌えたっていう面もあるんじゃないかとは思います。私、今ちょっとトレンドに詳しいですもん。TWICEって知ってます? メッチャかわいくて、メッチャ踊る人たちで、メッチャ人気があるんですよ?
――知ってますよ!
上坂:あとあいみょんとか、King & Princeとか……。自分でも自分の口からそんな最新の方々のお名前が出てくるようになるとは思ってもいませんでした(笑)。
――そして今回、アルバム表題曲はご自身の作詞ですけど、これまでの上坂さんの作詞曲とはまたちょっとテイストが違いますね。
上坂:……あっ!
――どうしました?
上坂:私、これまでにも作詞していたことを今の今まで忘れてました!
――へっ? 『POP TEAM EPIC』のカップリング曲「ミッドナイト♡お嬢様」や、『パララックス・ビュー』(2014年発表の3rdシングル)のカップリング「無窮なり趣味者集団」の詞を書いてますよね?
上坂:しまったあ……。このあいだもラジオ収録のときに「アルバムにも入っている『踊れ!きゅーきょく哲学』(2017年発表の8thシングル曲)は月蝕會議さんとの共作詞なので、『ノーフューチャーバカンス』がほぼ初作詞です」みたいなことを言っちゃったし、ほかの取材でもそんなことを触れ回っちゃってました。できれば記事の中で訂正しておいてください。「『ノーフューチャーバカンス』が初作詞じゃないよ」って。
――了解です(笑)。で、その詞なんですけど、職業作家の手によるものっぽい印象があるんです。プロが書いた1980年代シティポップの歌詞を2018年版にアップデートした感じというか。
上坂:確かにこの曲は壮大なパロディではありますね。もともとメロディをいただいたときに作曲家さんの仮歌詞が一緒に付いていて。それこそEspecia感のある、ちょっと英語調の歌詞が。それをもうちょっとラ・ムー(菊池桃子がボーカルを務めたバンド。1988~1989年活動)っぽくしたかったので、ラ・ムーを聴きながら、その世界観をトレースしつつも、古めかしくはさせない。私の理想である、ほどよく1980年代的なフューチャーファンクの世界を目指しました。
【CD】
01. 予感03
02. POP TEAM EPIC
03. 恋する図形(cubic futurismo)
04. よっぱらっぴ☆
05. 地獄でホットケーキ
06. リバーサイド・ラヴァーズ(奈落の恋)
07. 祈りの星空
08. 平成生まれ
09. Hello my kitty
10. チチキトク スグカエレ
11. ヤバい◯◯
12. 文豪でGO!
13. どうして!ルイ先生
14. アンチテーゼ・エスケイプ
15. 踊れ!きゅーきょく哲学
16. ノーフューチャーバカンス
【初回限定盤A付属Blu-ray】
★MUSIC VIDEO
01. 恋する図形(cubic futurismo)
02. 踊れ!きゅーきょく哲学
03. リバーサイド・ラヴァーズ(奈落の恋)
04. POP TEAM EPIC
05. ノーフューチャーバカンス
★映像特典
ノーフューチャーバカンス MAKING