仕事

スネる中年は手に負えない…40過ぎた“ヒラ社員”の居場所の見つけ方

田中:家庭でもそうですね。中年男性は家にいる時間が少ないので疎まれがち。家族に受け入れてほしいなら、自分のやりたい家事を気まぐれにするのではなく、家族が自分に求める家事を知り、日常的に取り組むことが重要です。 松本:給料面で家族に貢献できない分、家事で補塡する心構えは必要ですね。 田中:ただ、40代以上の中年男性は、家庭科が必修ではなかったせいで“生活感覚”が育まれていないんです。自主的に生活の知識を学ぶといいでしょう。 松本:料理教室に通ってもいい。今は男性生徒も多くて行きやすいですよ。また、仕事や家庭以外の居場所については、40~54歳は出世格差が最も開く時期なので、旧友との関係もギスギスしがち田中:出世した友人に会いたくないという万年ヒラ社員の気持ちは理解できます。だからヒラ社員は学生時代のガチの友人にこだわらず、「ゆるいつながり」を得てほしい。友人の定義を広く捉えて、年齢の幅を広げ、関係の濃度も薄めるといい。例えばジムに行くと、ヒマなお年寄りが声をかけてくるし、若いスタッフとも話せます。体も鍛えられて一挙両得ですよ。 松本:読書会や市民講座もさまざまな人と出会えます。序列や性別、年齢などの差異ではなく共通の関心を軸に交流するので、ヒラ社員である自分を忘れられるんですよ。私はオンラインゲームもよくやるんですが、オフ会に行くと、全国各地から学生や中年ヒラ社員まで集まるんです。それでもゲームという共通の趣味があるので、分け隔てなくコミュニケーションができるので世界が広がりますよ。 田中:社交性に乏しく、お金もない中年ヒラ社員には筋トレや勉強といった「目的」が伴いつつ安価な趣味がいい。ただし、目的に縛られすぎないことも重要です。所詮趣味だからしんどくなればやめればいい。また、図書館で本を読みつつボーッとしたり、一人で過ごすことも必要でしょう。男性的な“序列”や“しがらみ”から逃れて、上手に息抜きしてほしいです。 死ぬまでヒラ社員《ヒラへのアドバイス》 共通の関心を軸に交流すればヒラである自分を忘れられる(松本氏) “序列”や“しがらみ”から逃れて上手に息抜きして(田中氏) 【松本利明氏】 人事・戦略コンサルタント。5万人以上をリストラ、6000人以上のリーダーを選抜育成。著書に『5秒で伝えるための頭の整理術』(宝島社) 【田中俊之氏】 大正大学心理社会学部准教授。男性学の第一人者として活躍。著書に『男がつらいよ』(KADOKAWA)『〈40男〉はなぜ嫌われるか』(イースト・プレス) アンケート/エコンテ ― 死ぬまでヒラ社員の衝撃 ―
1
2
おすすめ記事