安倍晋三さんは、よほど「逆賊」として日本の歴史に名を残したいのか?/倉山満
では、外交はどうかと言えば、これも心もとない。
東アジア最弱の国である韓国は、我が国への挑発を強めている。戦前の徴用工の問題を蒸し返し、これまで真っ当な商売をしてきた日本企業に賠償金の支払いを命じてきた。韓国海軍が海上自衛隊にレーダーを照射した(殺すぞ、の意味)。韓国の常軌を逸した非文明的行為に、安倍内閣は抗議を繰り返すだけで、何の実効性のある対策をできていない。
そもそも、昨年のトランプ・金正恩会談の頃は、「これで拉致被害者が返ってくる」と安倍応援団は沸き返っていたが、今は音沙汰なしだ。
最近は、ロシアとの交渉で「北方領土を1島くらい返してくれ」と、前のめりになっている。ちなみに世耕弘成経済産業大臣は、「ロシア経済分野協力担当大臣」も兼務している。外国の、しかも同盟国でも何でもない国への協力を大臣の名前にするなど、聞いたことがない。ある意味で涙ぐましい努力だ。
それに対して、ロシアはどう答えているか。「北方領土という名称をやめろ」である。プーチン大統領は突然、「領土問題を棚上げして平和条約を結ぼう」と安倍首相の面前の公開の場で言い出したこともあった。「領土問題解決後に平和条約」は、1956年に旧ソ連と結んで以来の合意である。ロシアは、それをひっくり返そうと言っているのである。
要するに、舐められているのだ。
日本の外務省の方針に乗るだけの安倍内閣は、話し合いを続け、合意した文言を少しずつ領土返還に近づければ、1島くらい北方領土が返ってくると思っているのだろう。しかし、プーチンは力の論理の信奉者である。「戦争で獲られたものは、軍事力で取り返す」という気概がカケラもない日本など、おちょくりの対象でしかない。
そう言えば、安倍首相の悲願の憲法改正も、何の進展もない。まさか、北方領土が返ってきそうだからと、忘れてしまったわけではあるまい。もっとも、あの改憲案なら、変えなくて結構だがアメリカが中国に「貿易戦争」を仕掛け、習近平が苦しんでいるからと、別に日本に有利になるわけではない。自分の力で自分の国を守る気がない国に、未来はない。
今年は選挙の年だが、こんな弱すぎる「安倍一強」が続くのだろうか。野党や自民党反主流派に人材がゼロなのに、助けられすぎだ。
内憂外患の日本だが、守るべきものは守らねばならぬ。日本人が最も守らねばならないのは、皇室だ。
皇室を守るべく、言論で微力を尽くしたい。1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中
『噓だらけの日本古代史』 ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作は、日本の神話から平安時代までの嘘を暴く! |
1
2
この連載の前回記事
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ