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皇族に人権はない。当たり前の事実を、日本人は忘れてしまったのか?/倉山満

古来より皇室は皇族の支えによって守られてきた

 第52代嵯峨天皇や第108代後水尾天皇のように、多くの子供に恵まれればよいが、側室が存在した時代を望んでもしかたあるまい。私は、側室制度に“絶対の”反対はしないが、いまだ賛成する方法を示してもらったことがない。また、近代では第124代明治天皇は5人の側室から5男10女をもうけたが、成人した男子は御一人だけだった。  皇統保守は悠仁殿下のお世継ぎづくりに懸かっているのだが、一夫一妻制を維持した場合、皇后となる女性のプレッシャーは想像もつかない。  皇統は、いわば一本の糸でつながっているのだが、古来より皇室は皇族の支えによって守られてきた。将来、天皇となられる悠仁殿下と、未来の皇后陛下を守るべき皇族の存在は不可欠なのである。  さる3月20日の参議院財政金融委員会で、注目の質疑が行われた。占領期に臣籍降下させられた元皇族の子孫(元皇族と区別して旧皇族と呼ばれる)の皇籍復帰について問われた。これに、安倍晋三首相は「GHQの決定を、覆すということは全く考えてはいない」と言い切った。質問した国民民主党の大塚耕平議員は、「戦後政治の総決算をする気はないのか」とあきれていたが、続く質問が鋭かった。  宮内庁に「成子内親王と東久邇宮盛厚様の系譜に、男子が随分いらっしゃるということは認識として正しいでしょうか」と問いただした。 「承知してない」と逃げる宮内庁野村善史審議官に「それでは調べて一度回答してください。私の存じ上げている限りでも、内親王と東久邇宮様の系譜に、もう三代にわたって、男子が今もご健在であると、かなりの人数であると理解しております」と締めた。丁寧に解説しよう。  我が国の皇統は一人の例外もなく男系継承されてきた。ただし、時に男系は女系によって補完されてきた。  マッカーサーは11の宮家を廃絶、26人の皇族を一斉に臣籍降下させた。11宮家の方々は、男系では伏見宮の子孫にあたる。男系とは、父親の父親……をたどっていくと天皇にたどり着くという意味であるが、伏見宮は崇光天皇(一三九八年崩御)の第一皇子である。最近話題の竹田恒和JOC会長も、男系では崇光天皇の子孫である。
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天皇の男系子孫というだけでは皇位継承資格はない
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