ギャンブルをやっていると一度や二度どころか、よくあるスランプ。短いスランプならいいのだが……
ギャンブルをやっていると誰もが一度は陥るスランプ。一般人の場合は「また負けたよ?」で済むが、プロの場合はそうもいかない。競馬予想の配信を生業とするTARO氏とナツ氏のように、配信した予想がハズレ続けるのはまさに信用問題。看板に傷が付くでは済まない話である。では、彼らプロギャンブラーは負けが続くとき、どのようにスランプから脱しているのか……。すべての当たらない競馬ファン、そしてギャンブラー注目の対談をお届けする。
オイシイ話を後追いするヤツは“自分のターン”を逃す
──TAROさんの本を読んでいると、「負け続けているということは、なにかが間違っているからだ。そこに気づかないとひたすら負け続ける」ということが書いてあります。TAROさんやナツさんのような競馬予想のプロの目から見て、負け続けている競馬ファンに特徴的な間違いパターンとは、どういうものでしょうか。
ナツ:スランプにハマってる人って、すぐ流されるタイプの人ですよね。今日はTAROさんの予想、明日はナツの予想、明後日はまた違う誰かの予想に乗っかるみたいな。
TARO:それはありますよね。やっぱり、これはすべてのギャンブル……いや、ギャンブルに限らずいえることだと思うんですが、勝負事で『後追い』は一番ドロ沼のハマるんですよね。だから、スランプと感じて別の方法を試すくらいなら、今は自分のターンじゃないと思ってジッと耐えるくらいの頑固さも必要だと思います。
ナツ:ほんとにそう(笑)。自らスランプに巻き込まれにいってますよね。逆に、どんなときでも自分のやり方を貫いたり、特定の人の予想を研究し続けてそれを自分なりにアレンジできてる人っていうのは、スランプがなさそうですよね。TAROさんのメルマガ読者にもいるでしょ。TAROさんの予想しか見てなくて、乗るときは乗るし、乗らないときは乗らない。ちゃんと自分で考えて馬券を買っていて、それでしっかり年間通してプラスになってるような人。
TARO:他人の意見に左右されないというのは大事ですよね。「今回のレースのパターンだと、TAROさんの予想は当たらないっす」なんてことを平気で言ってくる読者もいますから(涙)。
──その人は、そんなメルマガをなんのために読み続けてるんでしょう?
TARO:1つのツールとして僕を使ってくれているということでしょう。僕にとってはそれでかまわないんですよ。もちろん、僕は常に当てるつもりでいるけど、予想は1つのエンターテインメントだと思っているんで、好きなように踏み台にしてほしい。それに、腰を据えて同じやり方を貫くことは大事だと思いますよ。誰でも波はあるんだから、スランプのときに乗り換えまくるっていうのは、良くないことだと思います。当たんないから当たってるものに飛びつくと、結局自分に当たるターンがきたときに自分がそこにいない、なんてことの繰り返しで、永遠にはずれのまま当たりを追い求めるようなことになってしまう。
──でも、予想が当たっているときって、メルマガ読者は増えますよね?
TARO:当たったら目に見えてメルマガ読者は増えるし、ブログだったらアクセスも増えますよ。たしかにそれは一見合理的で正しい“普通の大衆行動”です。でも、馬券を当てるのってもう一歩手前のところが大事なんですよ。今当たってない人とか、そういうところにこそ伸びしろがあると僕は思うんです。株で言ったら、ストップ高のニュースを見てその株を買うのではなくて、その前の段階で目をつけないといけないでしょ。後追いはいちばん良くない。
ナツ:最近の例だと、引退調教師の出走馬が注目されましたね。2月16日の3歳新馬戦(東京競馬場ダート1400メートル)では最低人気のチバタリアン(柴田正人調教師)が勝ち、同日開催のダイヤモンドステークス(G3・東京競馬場芝3400メートル)では、8番人気のサンデームーティエ(谷原義明調教師)が2着で大穴を開けました。
TARO:たしかに2月は調教師さんが入れ替わる時期で、引退調教師は渾身の仕上げをしてくるから、そういう馬がけっこう上位に来ることがあるんです。でも僕は、あれは買えなかった。
ナツ:あれは僕も買えんかったです?。
TARO:だけどあのレース結果を受けて、翌週以降は引退調教師の出走馬を紹介する予想家がたくさんいたじゃないですか。僕のなかでも気になるところではあったんですが、やっぱり後追いということで、これは違うだろとスルーしてたんです。そしたら案の定、来ませんでした。
ナツ:後追いはよくないっすよね?。常に傾向を読んで、みんなが騒いでいることの逆を行かないと儲からないですよ。