雑学

誰もが「40代で生活苦」に陥るリスク、自己責任論では救われない

 40代になれば、生活に余裕が生まれる……そう夢を描いていたが、働く人の手取り年収は下がり続けている。安月給や、転職失敗、非正規雇用などで、40代でも年収400万円を下回るような“低所得おじさん”は他人事ではない。

明日は我が身の“低所得おじさん”問題

ハローワーク まず平成29年の男性の平均給与を見てみよう。 ======================= ●40〜44歳男性(税込)  月給39万9800円、年間賞与118万4800円→年収598万2400円 ●45〜49歳男性(税込)  月給43万1800円、年間賞与138万1500円→年収656万3100円 ※平成29年賃金構造統計調査(厚生労働省) 月給=きまって支給する現金給与額、賞与=年間賞与その他特別給与額、年収は編集部が概算 =======================    全国の、零細企業〜大企業まで平均したのが上の額だ。この水準から見ると、40代で年収400万円未満だとやはり「低所得」と言わざるをえないだろう。特に、都市部ではかなり生活が厳しいはずだ。

進む二極化、もう自力では浮き上がれない?

 低所得おじさん問題の解決のためには「海外の社会保障モデルを参考にして、日本社会が変わっていくべきでしょう」とNPO法人「ほっとプラス」代表理事の藤田孝典氏は提言する。 「将来的に今のままの雇用形態、社会保障水準が変わらない限り、二極化が広がっていくことは確実です。それを食い止めるために、ドイツなどほかの国はスキルアップ支援などいろいろなセーフティネットを導入していますが、日本ではまだ有効な対策が打たれていない。これから先、少子化が進み経済規模も縮小していくなか、低所得層の年収は下がり続け、その数も増えていくばかりです」  経済アナリストの森永卓郎氏も、低所得おじさんを待ち受ける未来には悲観的だ。 「富裕層が利益を根こそぎ持ってってしまうため、下層にお金が回ってこない状況はまだまだ続くでしょうね。また、野村総研は今ある仕事の49%が人工知能やロボットに置き換えられると予測しており、現在低所得ではない人の仕事も奪われる可能性も大です」 貧困

社会保障を取るか、税率アップを取るか

 自己責任と言ってしまうことは簡単だが、現実には、社会・経済の仕組みによって格差が広がっているのだ。いったいどうすればいいのか? 「会社からの賃金だけで乗り切ることは限界なので、社会保障給付を強めるべきでしょう。ドイツのように公営住宅が充実すれば年間100万円ほど住居費が浮くことになり、生活は大幅に楽になります。ただし、そのためには税率や保険料のアップを伴うので、おじさんたちの合意が得られる否かがカギとなります」と藤田氏。  森永氏も、世界中で議論が進んでいる社会保障改革を提案する。 「法人税を減らし、所得税の累進課税を強化して富の再分配を行わない限り、低所得層の消費は停滞したままでしょう。思い切ってベーシック・インカム(すべての人に、最低限生活できる現金を支給する政策)を導入し、絶対的貧困を早急に食い止める必要があります」  生活のために、70歳まで働きたい、稼ぎたいと願う人が増えている現代。しかし、この喫緊の課題を解決するためには、社会全体の変化が求められているのだ。 取材・文/中村裕一 高島昌俊 溝口元海 仲田舞衣 永田明輝 和田まおみ(本誌) 撮影/加藤岳 アンケート/エコンテ ― [低所得おじさん]の絶望 ―





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