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「NHKから国民を守る党」の国政進出でNHKバッシングが始まるか

「NHKをぶっ壊す!」  7月21日投開票の参院選で、元NHK職員の立花孝志氏が代表を務める「NHKから国民を守る党」(以降、N国)が、悲願の比例1議席をもぎ取った。N国は37人の候補者を立てた選挙区でも、総得票数の3.02%を獲得。公職選挙法に規定されている「2%以上」という政党要件もクリアしたため、今後、5900万円の政党交付金を受け取る見通しだ。 NHK 選挙後、立花代表は改めて自身が“最終目標”として掲げる「(受信料契約した者だけがNHKを視聴できる)放送のスクランブル化」の実現を訴えたが、N国は4月に行われた統一地方選でも、首都圏や関西のベッドタウンを中心に47人の候補者を擁立。うち26人を当選させるなど、ワンフレーズ・ポリティクスの手法を最大限に駆使して、党勢を急拡大させることに成功している。 「なぜNHKをぶっ壊さないといけないのか? NHKの男女のアナウンサーが、不倫路上カーセックスしたのに、その事実を隠蔽しているからです。不倫ですよ。路上ですよ。カーセックスですよ。許せますか?」  選挙期間中、立花代表がNHKの政見放送でこう繰り返し連呼していたように、N国の過激でエキセントリックな活動には今も批判の声は多いが、なぜ、何の後ろ盾もなかった一介のポピュリズム政党が、ここまで支持を広げることができたのか? 『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』で開高健ノンフィクション賞を受賞したフリーランスライターの畠山理仁氏が話す。 「2013年に立花代表がたった一人でN国を結党した当初から、彼は『2019年の参院選で1議席を取ることが目標』と公言しており、6年前から周到に準備してきた結果、今回の議席獲得に繋がった。現行の選挙制度では、既存の巨大政党の後ろ盾もなく、選挙の“3ばん”といわれる『地盤(後援組織)・看板(知名度)・鞄(資金)』を持たない候補が当選するのは至難の業です。  だから、彼は長いスパンで選挙日程を逆算し、初めて打って出た摂津市議選で落選したのを皮切りに、町田市議選(落選)、船橋市議選(当選)、東京都知事選(落選)、葛飾区議選(当選)に出て、NHKに異を唱える政治団体が存在することを少しずつ世に知らしめてきた。 『不倫、路上、カーセックス』のような過激な発言も、『悪名は無名に勝る』という考えの下、確信犯的に行っており、これまでの選挙の常識を超えた緻密な選挙戦略を立て今の躍進に至ったと言っていい」

「イラネッチケー」裁判、ワンセグ裁判など司法の戦いでは連戦連敗

 立花氏は、国政を通じた活動で「スクランブル化」が実現した暁には、同党を「解党」し、自身も議員辞職すると明言している。だが、ここに至るまで、彼が長く険しいイバラの道を歩んできたのも事実と言えよう。  立花代表はこれまで、NHKを向こうに回し受信料を巡る訴訟をいくつも起こし、そのすべてで敗訴しているからだ。2015年に、立花氏が受信料の支払い義務がないことを確認するために起こした裁判で争点となったNHK帯域除去フィルター「イラネッチケー」の開発者である筑波大学准教授の掛谷英紀氏が話す。 「そもそもイラネッチケーをつくったのも、当時、自分の研究室にいた日本語の不自由な留学生が不利な契約を結ばされたり、『取れるところから取れ』という指示の下、高齢者など弱い者を狙い撃ちにするなど、NHKの悪質な営業は看過できないと思ったからです。  2013年には『従軍慰安婦問題』を巡ってリベラルと保守の議員が正反対の立場から質問をした動画がユーチューブに違法アップロードされたが、その際、NHKは保守系議員の発言だけ削除要請しています。  これは政治的公平性を定めた放送法第4条に背くもので、公共放送として明らかに逸脱した行為。1100万円超と高額な平均給与や年600万円にもなる手当や福利厚生、傘下に多数のグループ企業を抱える拡大路線などNHKには問題が山ほどあるが、公共放送にもかかわらず公共性を担保する仕組みがないことがすべての元凶です」  NHKの予算は国会の承認が必要なため、ハンドリングは効くという見方もある。だが、掛谷氏は「権力や政治家が報道内容に注文をつければ、報道圧力と批判されかねないので、実質、手を出すことはできない。経営委員や理事を公選制にするような仕組みがなければ変わらないでしょう」とも話す。
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「東横イン」への受信料支払い命令判決が確定
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