仕事でのコミュニケーションに悩む人たちの解決策!? “ウケる”話術とは
働く人にとって“コミュ力”は非常に重要なスキルのひとつ。取引先や上司、部下など様々な関係性のなかで生じるコミュニケーション上の課題に悩む人や企業も多いだろう。
そんななか、「“笑い”の力がビジネスに欠かせないコミュニケーションや組織の問題を解決するための一助となる」と提唱するのは、『「ウケる」は最強のビジネススキルである。』(日本経済新聞出版社)の著者であり、かつて浅井企画に所属するお笑い芸人だった中北朋宏氏。
前回は笑いのメカニズムとマインドについて紹介してもらったが、今回は仕事の会議や飲み会でウケるコツなど、より具体的なビジネスシーンで使える実践的なテクニックを解説していく。
【過去記事】⇒「中年会社員は“笑いのカツアゲ”が多い」元お笑い芸人が指摘する組織の問題点
仕事に限らず初対面同士が知り合うシーンは特に緊張した硬い雰囲気になりやすい。そうした空気を解きほぐす手法で有名なのが、セミナーや研修などの冒頭にゲーム形式で行われることもある“アイスブレイク”だが、社内外の会議や商談で本題に入った後、“余談”として活用するのも有効だという。
「アイスブレイクのネタは、フォーマット的に家族・友人・仕事・時事の話という4つの軸で考えます。状況や人によってウケやすさや自由度は変わりますが、僕は友人や家族の話が多いです。このなかから常に3つくらいエピソードを持っていれば、一生おもしろい話ができます」
とはいえ、関係性もまだまだ浅い営業先や緊張感のある会議などではハードルの高さを感じてしまうが。
「笑いをとることを難しく考えすぎる人も少なくないですが、大した話じゃなくていいんです。そもそもアイスブレイクは場の空気を壊すのが目的なので、ちょっと場が和むくらいで十分。でも笑いをとろうとすると、なぜかみんなホームラン打とうとしてフルスイングするから……。それでみんな怪我している。別にクスッとさせるくらいならどうとでもなりますよ」
確かに“ウケる”というと大爆笑みたいな光景を思い描きがちだが、普通の人がリアルな仕事の現場で実践する際は、ウケる=場を和ませるという視点がむしろ大事かも知れない。
また、ウケるための第一歩には、小手先の技術よりも自分自身が“よく笑う”というスタンスに重点を置くほうが簡単かつ効果的だとも中北氏は語る。
「飲み会であれ営業先であれ、“おもしろい人”になるには自ら笑って空気をデザインしていく意識が大切です。人間には他人の感情と共鳴して同じ感情を引き出される特性があり、笑っている人を見たらおもろなってくるし、イライラしている人を見たらイライラしてくる。
松本(人志)さんが『人志松本のすべらない話』(フジテレビ)や『笑ってはいけない』(日本テレビ)で誰よりも笑ったり、稲川淳二さんが「怖いな~怖いな~」と繰り返したりするのは、視聴者の同じ感情にリーチするためです。普段から全然笑わない人はおもしろくない人になりやすいので、まずは意識的によく笑うことですね」
気の利いたトークが苦手という人でも、相手の言葉にしっかりリアクションしてよく笑うくらいなら、リスクも低くちょっとした心がけでできそうだ。
また、コミュニケーションは一方的なものではなく、相互関係で成り立つ。相手と冗談を言い合える信頼関係を築く上ではお互いの過去の経験や価値観を共有する必要がある。そのためには、あえて弱さを見せることも必要だという。
「何かを施してもらうと、お返しに相手へ同レベルのことをしてあげたくなる心理作用を“返報性の原理”と言いますが、特に上司と部下の場合、上司から率先して自己開示することが大事。完璧な上司の姿を見せないといけない、といった考えもあるでしょうが、自分の弱点を晒したり、助けを求めたりすることで深い関係を築きやすくなります。
僕はいま会社経営していますが、数字に弱いので資金繰り表なども自分の株主に教えてもらいました。わかったフリをしないで正直に言うとちゃんと親身に教えてくれます」
ウケる人になるには、まず自分がよく笑え
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1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii
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『「ウケる」は最強のビジネススキルである。』 上司と部下が本音で話をしない、若手の社員がすぐに会社を辞めてしまう、営業先で面白い話ができない……。仕事の悩みを「笑い」で解決するためのノウハウがつまった一冊。 |
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