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働き方改革、女性活躍のモデルを巨大ラブホチェーンに見た/文筆家・古谷経衡

~第13回~

君はアイネを知ってるか?

 アイネグループを知っているか?と聞かれて知っている、という人はお目が高い。アイネグループは、中小零細企業が乱立するラブホテル業界にあって、バブル全盛期、北は北海道~南は九州まで、我が国最大クラスの規模を誇ったラブホテルチェーンである。現在、アイネグループはその主要な部分を独立した「レスティ」グループが引き継ぐことになり、全国で40店舗以上を経営する業界最大級のラブホテルグループとして生まれ変わろうとしている。

アイネ時代の面影

 アイネからレスティへ。全国各地にあるアイネは今、レスティへと急ピッチの改装が進む。その大改装の最前線を覗いた。  北埼玉にある久喜市。平成の大合併前、ここは北葛飾郡栗橋町であった。ホテルアイネ栗橋は、北埼玉におけるアイネグループの旗艦店の一つであったが、前掲の通りアイネからレスティへと大改装が進む中、この店舗も例外では無かった。

国道3号線沿いに立地するレスティ栗橋

アイネからレスティへを告げる看板

 アイネからレスティへの移行が始まる前、アイネに泊まったことがある人ならばこのホテルの特徴が分かるであろう。典型的な「THE ラブホテル」ともいうべき重厚な造りが自慢の客室を有する。バブル全盛時代特有の設備(室内カラオケ、サウナルーム)はもちろん、無駄に広い客室と豪かなL字型キッチン、ルーレット、ボードゲーム設備。今日日(きょうび)、誰もそんなものではときめかない設備が横溢していた。このような、いささか時代遅れのアイネからレスティへの生まれ変わりはどのように行われたのか。

ホテルロビーにある朝食とディナーの模型

申し分のないほど改装された室内

円形の独立バスタブ。ここはアイネ時代からの継承

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女性客への訴求はラブホの必須条件
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(ふるやつねひら)1982年生まれ。作家/評論家/令和政治社会問題研究所所長。日本ペンクラブ正会員。立命館大学文学部史学科卒。20代後半からネトウヨ陣営の気鋭の論客として執筆活動を展開したが、やがて保守論壇のムラ体質や年功序列に愛想を尽かし、現在は距離を置いている。『愛国商売』(小学館)、『左翼も右翼もウソばかり』(新潮社)、『ネット右翼の終わり ヘイトスピーチはなぜ無くならないのか』(晶文社)など、著書多数

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