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ネカフェや「道の駅」に住む貧困30~40代が増えている理由

 ますます広がる日本社会の格差。その日暮らしを強いられる年収100万円台の人たちは、過酷な環境下で夏を過ごしている。そして全国各地で、生活困窮者が定住するスポット――ネットカフェや貸倉庫や「道の駅」など――が増えている。  その背景を、貧困問題に詳しい社会福祉士の藤田孝典氏は次のように分析する。 ネットカフェ

膨らむ潜在的ホームレス。「貧困スポット」は今後も増える

「かつてお金がない、身寄りがない、いわゆる『絶対的貧困者』が集うのは、日雇い労働の斡旋所のあるエリアに集中していました。しかし、現代はそれこそ激安ネットカフェだったり、貸倉庫のように隠れて暮らせるような場所だったりが増えてしまった。そこに貧困者がどんどん散らばっていったのがまず一つあります」 【関連記事】⇒年収100万円台の衝撃。トランクルーム1畳半に住む40代に聞いた  そして貧困な人のボリュームゾーンが膨らんだことが要因とも。 「路上とアパートの“中間”のような非居住スペースが増えたことで、路上生活をしていたホームレスたちがそこに“上がった”。逆に中流にいた人たちがそこに“下がった”。上下のパイが増えたことで、貧困ビジネスとして一つ形成されてしまっている。  僕はここに住むような人たちを『潜在的ホームレス』と呼んでいます。年齢的には30代後半~40代後半のロスジェネ世代から、年金支給が始まる還暦手前の世代が多い。これは現役世代への支援が手薄なことも一因です。今後、この手の貧困スポットはどんどん増えることが予想されます」  そして、貧困スポットに定住すると、なかなか抜け出せなくなってしまう問題がある。その理由を藤田氏はこう語る。 「このような場所に身を寄せる人たちは、バイトや日雇いなど低賃金ながらも一応は働いている。それだけに本人の危機感も希薄で、状況を深刻に捉えていない。携帯さえあれば仕事にありつけるのも原因でしょうね。  ただ、客観的に見て、非居住スペースでの生活は精神的ストレスも大きく、自炊もできないので栄養状態が総じて悪い。体を壊すのは時間の問題。最悪、ネカフェで衰弱死、という事件も今後ありえるでしょう」  もう一つ彼らが抜け出せない理由である、福祉制度の遅れについても次のように指摘する。 「欧米各国は潜在的ホームレスも支援対象と見なされていますが、日本は住宅政策が弱く、家賃補助制度もありません。早めに住宅支援をしない限り、この状況は深刻化します。貧困に陥ってから救う『救貧』ではなく、貧困を未然に防止する『防貧』への対策強化が求められます」  この地獄から抜けるには動くこと、叫ぶことが重要なのだ。
藤田孝典氏

藤田孝典氏

【社会福祉士・藤田孝典氏】 NPO法人ほっとプラス代表理事、反貧困ネットワーク埼玉代表、ブラック企業対策プロジェクト共同代表。貧困地域にて夜回り訪問も行っている。著書に『下流老人』など <取材・文/週刊SPA!編集部> ※週刊SPA!9月3日発売号「年収100万円の衝撃」特集より
年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-

この問題を「自己責任論」で片づけてもいいのか――!?
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