更新日:2023年04月19日 20:50
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韓国のユニクロ不買運動はどれほどの痛手なのか?株価は意外にも…/馬渕磨理子

無視できない韓国ユニクロの売上

 そこで、同社における韓国ユニクロの利益の割合を見てみましょう。  ファーストリテイリング全体の売上は、2017年には、国内ユニクロが8100億円を売り上げ43%占めていましたが、高い成長率を続ける海外ユニクロが2018年には8900億円を売り上げ、国内ユニクロを追い抜いています。    つまり、ファーストリテイリングの動向は、いまや日本国内ではなく海外ユニクロの成長がカギになっているのです。  その中でも、韓国は大きな市場を持っています。  韓国国内にユニクロは186店舗展開しており、世界地域別でも14%を占めています。18年8月期の韓国内の売上高は約1400億円。この事実こそが、“日本バッシング”とも言える不買運動の最大のターゲットになった理由かもしれません。

韓国不買運動のわりに、意外にも株価は…

 結論を言いましょう。  もし、売上が40%減少するような状況が続くと、ファーストリテイリング全体の売上にも影響しかねないと言えます。では、実際に株価のマーケットではどんな反応を示しているのでしょうか。  これは意外な結果でした。  反日感情を一段と高めるきっかけとなった、日本が韓国に半導体素材などの輸出規制を決めた7月4日以降の株価の値動きを見てみると、7月16日に高値70,230円をつけた後は調整していますが、悲観的な売りというよりも、移動平均線までの下落に過ぎず、売られたところでは買われています。 移動平均線とは 株式相場・外国為替相場・金相場など様々な金融商品の動きを一つの流れとして捉えることができる、もっともポピュラーなテクニカル分析の手法の1つです。一定期間の平均価格を日々計算して出した「答え」を線でつないだものです。例えば5日移動平均値は5日分の平均価格となります。  つまり、SNSなどにて騒がれている程には、株価自体に大きいな影響を及ぼすまでには至っていないようです。  政治的なニュースがSNSなどの社会的な話題となり、悲観論的な見方が広がりがちですが、マーケットは意外にも冷静だったのです。  株価や財務諸表を見るだけで、ここまで企業とニュースのイメージは変わるもの。  政治家の発言一つ一つや、経営者の資質のみに着目するのでもなく、無機質な財務諸表のグラフだけとにらめっこするのでもなく、その両者を観察することで「気になる企業の未来」はクリアになっていくのです。
経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi
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