更新日:2023年04月27日 10:39
ニュース

嵐が奉祝曲を歌った「国民祭典」への賛否と誤解/江崎道朗

国民祭典の始まりは、昭和60年の小さな行事

 陛下の祖父、昭和天皇の御在位60年の際に民間有志が提灯を手にお祝いに駆けつけたところ、昭和天皇がお出ましになり、その祝意にお応えになったのが最初だ。  平成2年(’90年)にも皇居前広場において民間主催で、陛下の父、上皇陛下の御即位をお祝いする行事が開催された。  この祝賀行事が今のように大がかりになったのは、平成11年(’99年)に開催された御即位10年祝賀行事のときであった。なんと人気ロックバンド「X JAPAN」のリーダーYOSHIKIさんが自作の奉祝曲「Anniversary」をピアノで演奏し、二重橋から上皇上皇后両陛下もお聞きになられたのだ。  その10年後の平成21年、御即位20年に際しても皇居前広場で民間主催の祝賀行事が開催され、組曲「太陽の国」(作詞・秋元康、作曲・岩代太郎)をレコード大賞受賞の人気グループ「EXILE」のメンバーがダンス・パフォーマンスと歌で披露した。  このときは直前に政権交代があり、鳩山由紀夫民主党政権の時代であったが、鳩山総理も出席し、祝辞を述べている。皇室は、与野党の対立を超えた存在なのだ。  現行憲法では、天皇は「国民統合の象徴」と規定されている。与野党の政治対立を超え、126代も続いている天皇陛下のもとで国民がまとまっていく国が日本という国なのだ。
(えざき・みちお)1962年、東京都生まれ。九州大学文学部哲学科卒業後、石原慎太郎衆議院議員の政策担当秘書など、複数の国会議員政策スタッフを務め、安全保障やインテリジェンス、近現代史研究に従事。主な著書に『知りたくないではすまされない』(KADOKAWA)、『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』『日本占領と「敗戦革命」の危機』『朝鮮戦争と日本・台湾「侵略」工作』『緒方竹虎と日本のインテリジェンス』(いずれもPHP新書)、『日本外務省はソ連の対米工作を知っていた』『インテリジェンスで読み解く 米中と経済安保』(いずれも扶桑社)ほか多数。公式サイト、ツイッター@ezakimichio

インテリジェンスで読み解く 米中と経済安保

経済的安全をいかに守るか?


経済的安全をいかに守るか?実践的な入門書が発売!

 ’17年、トランプ米大統領は中国を競争相手とみなす「国家安全保障戦略」を策定し、中国に貿易戦争を仕掛けた。日本は「米中対立」の狭間にありながら、明確な戦略を持ち合わせていない。そもそも中国を「脅威」だと明言すらしていないのだ。

 日本の経済安全保障を確立するためには、国際情勢を正確に分析し、時代に即した戦略立案が喫緊の課題である。江崎氏の最新刊『インテリジェンスで読み解く 米中と経済安保』は、公刊情報を読み解くことで日本のあるべき「対中戦略」「経済安全保障」について独自の視座を提供している。江崎氏の正鵠を射た分析で、インテリジェンスに関する実践的な入門書として必読の一冊と言えよう。
1
2
おすすめ記事