更新日:2023年05月15日 13:21
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安倍内閣を支持していた私が積極的不支持に変えたわけ/倉山満

反社との付き合いは、お笑い芸人さえ厳しい社会的制裁を受けるのに、与党の政治家は許されるのか?

 ところが、平成25年10月1日、半年後の消費増税8%を宣言してしまった。これに私は徹底的に異を唱え、「ここで増税したら、安倍内閣は死に体になり何もできなくなる」と訴えたが蟷螂の斧、届かなかった。それでも平成26年12月の1回目の増税延期までは死ぬ気で応援した。  その後は緩やかな景気回復を維持したが、さしたる抵抗勢力も存在しないのに何の実績も残せなかった。  そして安倍自民党内閣は、令和元年7月の参議院選挙で増税を公約に、勝つ気のない野党連合と戦い、10月に10%増税を断行した。  こうした流れの中で私の立場は、平成25年10月1日までは積極的支持、その後の6年間は消極的支持、今年7月以降は積極的不支持である。  噂の「桜を見る会」には、25年と26年の春には呼ばれている。非公開の自宅住所に「内閣総理大臣安倍晋三」の差出人の封筒が届いた。 「総理に自宅住所入りの名刺など渡した記憶が無いのに、どこで調べたか、さすが国家権力」などと妙な感心をしたものだ。ところが、27年以降は一度も呼ばれていない。  つまり、積極的支持が目立っていた期間は呼ばれたが、絶対の支持者ではないと判断されてからは呼ばれなかったことになる。私如き小物を相手に、暇なものだ。  このような自分自身の体験から、「桜を見る会」は総理の応援団を歓待する――しかも税金で――という会なのだと認識していた。ちなみに、私が呼ばれなくなった後、太鼓持ち芸人の如く安倍応援団を務めた言論人たちは、AKB48ら一流芸能人と同席させてもらっている。これで「税金を使った私物化と言うな」は通らないだろう。  インターネットに接していると、毎日(のようにではなく、文字通り一日も欠かさず)、安倍首相を広告塔に使った怪しげなネットワークビジネスとしか思えないような宣伝映像が飛び込んでくる。「現職総理大臣が何をやっているのだ?」と言いたくなるが、「桜を見る会」には反社(反社会的勢力)の人間も呼び、あまつさえマルチ商法の広告に使われたと話題になっている。反社との付き合いは、お笑い芸人さえ厳しい社会的制裁を受けるのに、与党の政治家は許されるのか?  などと、この原稿を書いている最中、首相側近を売りにしている元記者が被告となった準強姦事件の、一審判決速報が飛び込んできた。まだ一審で判決は確定していないので断定はできないが、元記者は刑事裁判では不起訴なので不戦勝だったが、民事裁判では惨敗した。この一審判決だけで言える、恐ろしい現実がわかるだろうか。検察の怠慢と腐敗だ。  刑事裁判での挙証は、民事裁判での立証よりも条件が厳しい。だから検察は挙証が困難と考えて不起訴にしたのだろうと、推定できる。ところが一審とはいえ、民事では準強姦の事実が認定された。もしかしたら、刑事裁判でも検察が本気で戦えば、勝てたかもしれない。つまり、検察は負けるかもしれないと怯えて不起訴を選び真実を封印し、被害を訴える女性に泣き寝入りを強いようとしたのだ。  保守業界の住人は、被害を訴える女性がリベラルだからと猛烈に誹謗中傷を加え、どこぞで入手した「カルテ」をネットで拡散する輩もいる。いくら相手が憎くても、やってはいけないことはあるだろう、などという理屈が通じないのだ。  頭が割れるように痛い……。
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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