更新日:2019年12月03日 15:03
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安倍内閣が史上最長…無能な働き者に限って地位にしがみつく典型だ/倉山満

首相官邸

首相官邸Twitterより

無能な働き者に限って地位にしがみつく、結果が出なければなおさら、の典型だ

 いざという時なのに、貫禄が無い総理大臣だった。立派な人物には見えなかったが、人材を活用しつつ、責任だけは果たした。政界の長老には頭が上がらず気を遣ってばかりだったが、人事を間違えず、使いにくい傲岸な人物をも抜擢した。  国民に嫌われたが、本気で自分を批判してくる国民に笑みを漏らした。見た目はいい加減だったが、やることはやった。日本で名宰相と言われるからには、絶対に強くなければならない。そして心が広くならねばならない。  我が国の憲政史上で最も偉大な宰相である桂太郎を評した一文を現代風に訳してみた。  原文は、昭和18年元旦の朝日新聞に掲載された、「戦時宰相論」である。中野正剛代議士が記した。無能な戦争指導を極める、東條英機首相への嫌味である。中野は、古今東西の名宰相をあげ、戦争に勝てる首相の条件を論じた。  東條の名前はどこにも出てこないが、その真意は誰にでもわかる名文だった。現に、激怒した東條は朝日新聞を発禁処分にしたのみならず、強引に中野を逮捕し、自決に追いやった。  戦時中の東條の口癖は「これは戦争に勝つためだ!」だった。そのたびに、横紙破りが横行する。それで戦局が好転するならともかく、連戦連敗である。批判する者がいれば情け容赦なく弾圧し、それも「戦争に勝つためだ!」と言い張る。政権末期は、盲目的に己の権力維持に邁進した。  東條が救いがたいのは、本人なりには国を想っていたことである。しかし、自分が総理大臣の地位を退く気は無い。無能な働き者に限って地位にしがみつく、結果が出なければなおさら、の典型である。  確かに東條英機を辞めさせただけでは戦争は終わらなかった。しかし、東條が居座る限り、戦争が終わらなかった。中野は、正論が通らない状況で、必死に正論を訴え、権力に名を借りた暴力に殺されたのである。
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桂太郎とは、どのような人物だったのか?
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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