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トランクルームで3年暮らす中卒フリーター。生活保護の親にも頼れない

 日本社会の格差がますます広がる中で、人間が安心して暮らすための基盤である“家”の存在が揺らいでいる。貧困に喘ぎ苦しむ人たちの住宅事情をリポート。トランクルームで生活する40代に続き、今回は3年暮らす30代の男性。なぜそんな辛い事態に陥ったのか取材した。
[年収100万円ハウス]の惨状

河村忠さん(仮名・ 36歳)

トランクルームで力尽きる、漂流する中卒フリーター

▼河村忠さん(仮名) 36歳 製造業日雇い 「賃料1万円を2か月分滞納していますが、無人で管理が杜撰(ずさん)だから……入れると思います」 “部屋”の主、河村忠さん(仮名・36歳)に案内されたのは、東京・渋谷区にあるトランクルーム。広さ1畳半の密閉空間を定宿にし、3年がたつという。 「地元は滋賀県です。実家が貧乏だったこともあって、親の希望で中学を卒業してずっと家計を助けてきました。でも、学歴からかいつまでも正社員になれなくて、東京に仕事を求めてきたんですが……」  上京後も学歴がネックになり、時給の高い警備職など肉体労働を主にしたフリーター生活を送る。そして気づけば履歴書に書ける経歴がほぼない、非熟練労働者のまま30代を迎えたという。 「親に仕送りもしていたから貯金はないまま、32歳で椎間板ヘルニアを発症しまして。職場の人間関係も悪くて、1週間休んだら即解雇されてしまいました。当時住んでいた家を家賃滞納で追い出され、一時退避場所としてトランクルームを借りました。  日雇い仕事にありつけたときはネットカフェ、ダメならば24時間営業のファミレスやファストフード店。でも、最近は『寝ないでください』と追い出されることも増えてきました。さまよって辿り着いた最後がココです。『住んではいけない』と思いながら力尽きました」

ほかの利用者に悟られないよう息を殺して寝ています

 河村さんが地元に帰れず、国に頼れない理由もある。親が生活保護を受けているからだ。   「僕は連絡が一切取れない“絶縁した子ども”設定のようです。親を養える賃金もないから孤独に生きるしかない。正直、どうすればいいかもわからないです」  生活保護を受けている場合、親族に収入があれば扶養義務があるとして、福祉事務所が親族に「扶養調査」を行う。河村さんのように、親子ともに生活に困っていては扶養などできないのだが、「連絡が取れない設定」で扶養調査を避けることは少なくないという。  ただでさえ狭い部屋で荷物の山に埋もれ、ほかの利用者に悟られないよう息を殺して眠る河村さん。捨てられない荷物のなかには、親からもらった手紙などもあるという。 「辛い思いをさせて申し訳ない、と書いてありましたね……。でも耐えるしかない」  断ち切れぬ貧困の連鎖の中で、今日もトランクルームで眠る河村さん。難しいかもしれないが、役所に行って生活保護の相談をするか(渋られる可能性もあるが)、一人では難しければ支援するNPOなどに協力してもらうか…。ともかく、誰かに相談してみてほしいのだ。 <取材・文/週刊SPA!編集部> 【過去に取材した別の男性も】⇒年収100万円台の衝撃。トランクルーム1畳半に住む40代に聞いた
年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-

この問題を「自己責任論」で片づけてもいいのか――!?
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