病院に通っても覚せい剤がやめられない男の悲劇<薬物裁判556日傍聴記>
―[薬物裁判556日傍聴記]―
槇原敬之が覚せい剤所持などの疑いで逮捕された。まだ容疑の域を出ないとはいえ、槇原敬之は1999年に逮捕されてから20年以上たっているだけに、世間への衝撃は大きかった。
彼や昨年7度目の逮捕をされた田代まさしを例に出すまでもなく、一度覚せい剤に手をつけてしまうとやめるのは容易ではない。なんといっても田代まさしはテレビ出演して薬物依存から立ち直る困難さを説いていた矢先の逮捕だったのだから。
薬物事案の裁判を556日に渡り傍聴し、その法廷劇の全文を書き起こした斉藤総一さんの手記を読むと、そこには覚せい剤の「恐怖」が滲み出ている。今回紹介する法廷劇を読んで浮かぶ被告の姿は、弁護人がどう取り繕ったところで、文字通り「人間やめますか」の領域にある。
そして、これは覚せい剤による逮捕者の極端な例ではない。「覚せい剤を使った結果はこうなる」という典型例のような裁判だ。この傍聴記ひとつをとっても、いかに覚せい剤がたちの悪い薬物なのか伝わるだろう。
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※プライバシー保護の観点から氏名や住所などはすべて変更しております。
覚せい剤をどうしても止められない
覚せい剤を誘う人間は「友人」か?
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自然食品の営業マン。妻と子と暮らす、ごく普通の36歳。温泉めぐりの趣味が高じて、アイスランドに行くほど凝り性の一面を持つ。ある日、寝耳に水のガサ入れを受けてから一念発起し、営業を言い訳に全国津々浦々の裁判所に薬物事案の裁判に計556日通いつめ、法廷劇の模様全文を書き残す
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