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「パワハラ上司は一発で退場」が実現した仕組み/アマゾン元幹部に聞く

上司はヒマなほうがいい理由

――星さんは、上司としてどんなことを心がけていましたか? 星:当時、秘書には、出来る限り1日2時間はミーティングを入れないでほしいと伝えていました。とくに何もない時間を作って、オフィス内をブラブラ歩いたり、部屋のドアを開けっ放しにして、部下がいつでも入ってこれるようにしていました。 上司はヒマなほうがいいんですよ。そのほうが部下が話しかけやすいですし、結果、部署内の状況をつかみやすくなるので。  たとえば、360度評価で、部下から「私の上司はいつも忙しくて、部下と同じ現場レベルの仕事を一生懸命やってくれます」と言われても、高評価にならないですし。 Amazon Logo California――日本では、“現場と一緒に汗をかく”上司がウケがよかったりします。アマゾンでは、どんな人が「いい上司」なんでしょうか。 星:私は、上司の役割は、「部下がパフォーマンスを最大限発揮できる状態を作ること」。そして「方向を示し、決断すること」だと思っています。  上司一人の仕事量なんて、たかが知れています。自分の部下なりチームがパフォーマンスを上げる状況を作ることで、結果を出せるわけですから。  あとは、数字内容を詳細までグリップしておくこと。アマゾンでは「Dive Deep」(深堀りをする)という言葉があります。上辺だけを把握しているのではなく、深堀りをして、末端までやっていることを理解する。理解しないと、決断も早くできませんからね。

残業は、やれとも、やるなとも言われない

――日本では長時間労働が問題になっている一方で、「働き方改革」で「残業減らせ」と言われる会社もあります。アマゾンではどうですか。 星:残業は、やれとも、やるなとも言わないですね。もちろん、「上司やみんなが残っているから」といって帰りにくい雰囲気はありません。 出退勤は一応管理されていますし、有給休暇もありますよ。でも、評価は時間ではなく、あくまでも個人目標に対する結果です。だから、アメリカの本社では、金曜日の午後になると従業員が帰宅し、オフィスが閑散としたり、日本でもWork From Homeといって在宅勤務を時々取り入れる人もたくさんいます。 ――それはうらやましい。 星:出産・育休後に復職する女性が非常に多いのですが、育児中の「時短勤務」という概念もないんですよ。子供のお迎えがあるから夕方4時に帰ると言っても、パフォーマンスが出ていれば何の問題ですよね。 ――自主性に任されているんですね。それも、個人目標が明文化されているからでしょうね。 星:そうだと思います。なんだかんだいって評価が公平だと思うんですね。上司に気に入られている人間だけが出世することも、360度評価があるのであり得ませんし。
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