「いびき」を自分で治す方法。寝方は仰向け・横向き、どちらがいい?/医師監修
「いびきを指摘されて悩んでいる」「家族のいびきがうるさくて眠れない」という人は、多いのではないだろうか。いびきは、単に「うるさいもの」「迷惑なもの」と考えられがちだ。しかし、放置しておくと体や心のさまざまなところにダメージを与え、最悪の場合、突然死につながるような病気のリスクも高めてしまう非常にこわいものだということは、あまり知られていない。
1万人以上の患者を治療してきた睡眠専門医の白濱龍太郎氏は、「いびきを放っておくと、睡眠時無呼吸症候群につながり、高血圧症や動脈硬化の進行にともなう心筋梗塞、糖尿病などの怖ろしい病気を招きます。それだけでなく、うつ病などのメンタルの不調、EDや薄毛・抜け毛(AGA)など、思わぬところにも影響を与えることもわかってきました」という(以下、「 」は白濱医師)。
「いびきは、しっかり治療や対策をしていけば、改善が見込めます。専門医療機関で診察を受けるのが望ましいですが、いきなり病院に行くのはハードルが高いでしょうし、なかには今のところ軽症という方もいらっしゃるでしょう。ですので、私は病院に行く前にまず、自分でいびきを治すことを目指す『いびき解消メソッド』を考案しました」
白濱医師は、近著『睡眠専門医が考案した いびきを自分で治す方法』でいくつかのメソッドを紹介している。
いびきの原因にはいろいろなものがあるが、直接的なのは、寝ている間に空気の通り道=気道が狭くなってしまうことだという。加齢などに伴い舌の筋肉が衰えてくると、寝ている間に舌が喉の奥に落ち込んでしまう舌根沈下(ぜっこんちんか)という現象が起こりやすくなり、この現象により気道が狭くなると、いびきにつながるのだ。
「『いびき解消メソッド』で推奨しているのは『舌の筋トレ』です。舌を効率よく鍛えるトレーニングで筋肉を強化することで、いびきの改善が見込めます。1日5分程度でできる簡単なものなので、いびきが気になる方はぜひ試してみてください。その際は、下記の口の中の部位を参考にやってみましょう」
●口の中の部位
●舌の筋トレその1:舌の前後運動
口を開けて舌を前に突き出して5秒キープ、ひっこめて5秒キープ(ひっこめるときは舌の先端を上の歯の裏にくっ付けて、そのまま後ろに引っ張る感じで)を3セット繰り返す。
●舌の筋トレその2:舌の上下運動
口を開けて、舌を上あご(なるべく口蓋全体)に押し付けて10秒キープ、舌を下あご(口腔底)に押し付けて10秒キープを3セット。
●舌の筋トレその3:舌の回転運動
口を閉じたまま口の中でゆっくり舌をぐるっと回転させる(3回)。舌で歯の表面と歯茎を舐めまわす感じで。
●舌の筋トレその4:舌、あごの運動
口を大きく開けて「あーいーうーえーおー」と言いながら、顔と口の筋肉を大きく動かす。これを3回繰り返す(※舌やあごを痛めないように、無理のない範囲で)。
●舌の筋トレその5:頬の運動
口を閉じて頬を大きく膨らませて5秒キープ、すぼめて5秒キープを3セット繰り返す。
「いくら舌の筋肉を鍛えても、寝ている間は身体中の力が抜けてしまうから、効果がないんじゃないか?と思われるかもしれませんが、心配には及びません。2009年にブラジルのサンパウロ大学の睡眠研究チームが、舌を中心にした口周りのトレーニングを続けることが、いびきの軽減につながるという研究結果を発表し、医学的に効果がある行為と認められています」
この5つの筋トレを毎日続けることで、舌の筋肉を強化し、いびきの原因となる舌根沈下が抑制できる。1日の中のどの時間帯でも効果は変わらないが、就寝前に行うのがルーティン化しやすくおすすめだ。
いびきは、うるさいだけじゃない、万病のもとだった
メソッド1:「舌の筋トレ」で、気道が狭くなるのを防ぐ
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